著名建築家も信頼を置くレンガ・タイルメーカーに独自取材:レンガ舗装とタイル舗装の上手な使い方とは
CLASS1 ARCHITECT Vol.12 で特集した、株式会社水野製陶園の「透水レンガ」。建築家 島田陽氏が「京都ミニシアター」の舗装材に使用した建材として紹介しました。
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水野製陶園は、レンガだけでなくタイルも扱っている焼き物メーカー。自然な風合いと工業的な完成度の高さを併せ持つ建築資材として、レンガやタイルを原料から製造しています。
レンガとタイル、どちらも同じ焼き物ですが、建材としての機能にはどのような違いがあるのでしょうか。
そこで今回は、水野製陶園の水野太史氏に取材を行い、レンガ舗装とタイル舗装について、それぞれの強みや特徴を比較しました。
レンガとタイルの違い
舗装を比較する前に、レンガとタイルの違いについて触れておきます。
レンガ・タイルはともに主原料の粘土を焼成したもので、厚みのあるものをレンガ、2~3㎝以下程度の薄いものをタイルと呼びます。
この違いが、舗装材としての特徴にも繋がっていきます。
透水性と重厚感のレンガ舗装
レンガ舗装はコンクリートを使用せずに舗装を施工できます。それにより、様々なメリットが生まれています。
水野製陶園の透水レンガ
例えば、透水性。コンクリートを使用せずに施工すると、舗装の下の地面にある程度水はけができるため、水たまりができにくくなります。
また、コンクリートを使用しない舗装は、撤去するときにリユース(再利用)もしやすいエコな舗装になります。
建築家 島田陽氏はレンガ独自の凹凸やムラを気に入り採用
意匠面におけるレンガ舗装の特徴は、やはり質感。見た目や感触から厚さが伝わる重厚感はレンガならではです。
水野氏によると、「レンガは経年変化も美しく、長い時間を経て多くの人々が往来したレンガ舗装には、石畳と似たような独特のツヤが出てくる」といいます。
デザインの自由度が高いタイル舗装
水野製陶園が手掛けたタイル
一方でタイル舗装は、コンクリートで下地を作ることが前提。そのため、平滑な面を作りやすくなります。
村野藤吾設計 日生劇場のタイル
意匠面では、納め方(目地割)や表面の形状(面状)、施釉の有無など、レンガと比べ自由度が高くなります。様々な原料を使用し、表面に定着できるタイルならではの特徴です。
また、タイル舗装は屋内と屋外を同じ仕上げにすることも容易。内と外の床面を一致させて空間の連続性を高めたり、一体感のある仕上げにしたい場合に活用できる舗装です。
レンガ舗装・タイル舗装に車の乗り入れは可能?
レンガやタイル舗装について、水野氏が建築士からよく質問されるのが、「車の乗り入れはできるのか?」「車の重量に耐えられるのか?」という強度面の疑問。
水野氏によれば、レンガ舗装の場合は、下地として車の乗り入れに耐えうる路盤をつくること。
タイル舗装の場合は、車の乗り入れに耐えうるコンクリート下地を作った上で、下地とタイルの間に隙間ができないように施工を行うこと。
これらの条件下であれば、車の重量に耐えられる舗装が可能だといいます。
レンガやタイルなど焼き物自体の圧縮強度はコンクリートよりも大きく、レンガであればコンクリートを使用せずとも、砕石等の路盤で車の重量に耐えうる舗装ができるそうです。
水野製陶園の「透水レンガ」のレビューを見てみませんか?
今回は、レンガ舗装とタイル舗装の特徴の違いをご紹介しました。自然の風合いや、水はけの良さを求める場合はレンガ舗装、今までにない斬新なデザインの舗装を求める場合はタイル舗装を試してみてはいかがでしょうか。
今回レンガ・タイル舗装について答えていただいた株式会社水野製陶園は、CLASS1 ARCHITECT Vol.12 でも掲載しています。
建築家 島田陽氏設計の「京都みなみ会館」の正面舗装に水野製陶園の透水レンガを使用。島田陽氏による製品のレビューと、透水レンガの開発秘話をご紹介していますので、ぜひご覧ください。
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