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「フィッシュレザー(魚の革)」を比較で解明。廃棄されるはずの魚が、インテリアや建材に。

CLASS1 ARCHITECT Vol.24 で一つ目の建材として紹介したのが、tototoの「フィッシュレザー」です。富山県南砺市利賀村の「消滅集落のオーベルジュ」にて、ランプシェードとして使用されていました。

魚の皮から作るフィッシュレザーは、日本であまり普及していない珍しい素材。初めて知る方も多いと思います。

そこで今回は、フィッシュレザーの特徴や建材としての用途を詳しく紹介。一般的に使用される牛革などと比較しながら、今まで使われてきた「革」とどのような点が違うのか解明していきます。

なぜ「魚の革」が可能になったのか

フィッシュレザーは、魚の皮の脂身除去、なめし剤の浸透、乾燥などの工程を経てつくられます。

基本的な製造工程は一般的な革とほぼ同じですが、魚の皮だとどうしても脂でべたつき、魚臭さが抜けなくなってしまいます。魚の皮に合った「なめし」の技術が確立されておらず、今までフィッシュレザーはつくられてきませんでした

しかし、tototo代表の野口氏は数年をかけて、フィッシュレザーを少しずつ改良。革なめしの専門家や、「東京都立皮革技術センター」などの協力も得て、3年後、魚臭さがなく、丈夫でしなやかなフィッシュレザーを完成させることができました。

野口氏がフィッシュレザーの開発を続ける中で大切にしていたのは、「環境を守る、持続可能なものづくりをする」ということ。

フィッシュレザーは、刺身などに加工する際に廃棄される魚の皮を原料として使っており、野口氏はそれを革にすることで「生命の恵みを無駄にしないものづくり」を普及させようとしています。

フィッシュレザーの5つの特徴

ここからは、フィッシュレザーの特徴を、一般的に普及している牛革などと比較しながら見ていきます。

  • 模様
  • 革の種類
  • 着色方法
  • 経年変化
  • 建材としての用途

模様

フィッシュレザーの特徴のひとつとして、「魚の皮」だとすぐにわかる鱗模様があることが挙げられます。

半透明のフィッシュレザーでつくられたランプシェード

また、なめし剤の浸透量を調節することで、革の透明性も変えることが可能です。

牛や豚の革でも、半透明の革をつくることは可能です。しかし魚の皮の方が厚みが薄く、牛や豚よりも脂を抜く作業に時間がかかりません。

野口氏曰く、「半透明にするなら魚の皮の方が適していると考えられる」とのことです。

革の種類

現在tototoでは、ブリ・マダイ・スズキの3種類のフィッシュレザーを取り扱っています。また、今後はサケとマグロなど、新しい魚種の革が商品として追加される予定です。

牛革などの動物の革は、動物の年齢や部位によって、見た目だけでなく耐久性にも違いが出ます。

その点はフィッシュレザーも同様で、魚といってもアジやサバのように魚体が小さいものは鱗模様が出る代わりに皮が薄くなります。反対にマグロやサメのような大きな魚は、牛などの皮と同様の厚みとなり、革の耐久性も高くなります。

着色方法

フィッシュレザーは、羊毛や絹などと同じ動物性繊維で染色をしやすい素材。一般的な革製品と同じく、衣料用の化学染料を使用して着色をしており、基本的にどんな色にも着色が可能です。

しかしtototoでは、今後フィッシュレザーをよりエコな素材とするため、化学染料による着色を見直しているといいます。現在、草木染による染色実験を行っており、2022年夏からは「天然染料で染めたフィッシュレザーのみ」が販売される予定です。

経年変化

牛革など、動物の革ならではの特徴といえば、経年変化です。

フィッシュレザーもそのような革と同じく、使用年数につれて色味や艶が変化していきます。

画像のように、だんだんと濃く深い色合いになり、手の脂が染みこむことで手触りがより滑らかに、艶も出るようになります。自然素材としての変化を楽しむことができる素材です。

建材としての用途

革が建材として使われているところはよく目にします。特に、家具やソファ張地など、インテリアとして主に使用されています。

フィッシュレザーも、財布やキーホルダーなどの小物利用に留まらず、今では建材としての利用も広がっています

例えば、CLASS1 ARCHITECT Vol.24でも紹介したランプシェード。フィッシュレザーの透明度を調節し、絶妙な加減で光を透過させています。

さまざまなフィッシュレザーを縫い合わせた壁紙(試作品)

また、「ハイブランド新店舗の壁紙として利用したい」という声もあり、壁紙も開発中です。スズキ・ブリ・マダイなどさまざまなフィッシュレザーを縫い合わせたクロスの製作が進められています。

フィッシュレザーはその他にも、椅子・ソファの張地、家具の表面材、カーテンなどにも展開可能です。

野口氏曰く、「椅子の座面など摩擦の強い部分には、マグロ、サメ、フグ、ウツボなどの、分厚く強度があり鱗模様がほぼない魚が適している」そうで、一般的なレザーが使用される場所にも利用が期待できます。

持続可能なものづくりを可能にする新素材

フィッシュレザーは、廃棄される魚を「革」として再生させたサステナブルな新素材。今後、インテリアや壁紙として、建築への利用も期待できます。

4月28日(木)に公開したCLASS1 ARCHITECT Vol.24では、今回紹介した「フィッシュレザー」でランプシェードを製作した事例を詳しく紹介しています。

今までにない新たな素材の使い方や、地球に優しい素材に興味がある方は、ぜひご覧ください。

建材ダイジェスト 編集部

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