ウッドデザイン賞2016の国産材をつかった受賞10品の特長&施工事例まとめ
目次
「ウッドデザイン賞2016」を受賞した251点が、10月24日に発表されました。今回は暮らしの質を高めてくれるライフスタイルデザイン部門の建材から、全10個を見て行きましょう。
ウッドデザイン賞|JAPAN WOOD DESIGN AWARD 2016
https://www.wooddesign.jp/
ウッドデザイン賞とは?
木の良さや価値を再発見させる製品や取組について、特に優れたものを消費者目線で評価し、表彰する新しい顕彰制度です。これによって“木のある豊かな暮らし”が普及・発展し、日々の生活や社会が彩られ、木材利用が進むことを目的としています。
ちなみに審査委員長と、建築・空間・建材・部材分野の審査委員は下記の5人です。
- 赤池 学(審査委員長)
- 隈 研吾
- 手塚 由比
- 鈴木 恵千代
- 腰原 幹雄
1. JPウォール (耐力壁)
12mm厚の国産杉を3枚重ね合わせたCLT(直交集成板)を使用し、壁倍率4.6倍の耐力壁にしたものです。板倉造りという杉の厚板を柱と柱の間に落とし込む構造を、簡単に造ることが可能になりました。
商品特徴
- 壁倍率4.6倍の大臣認定を取得
- 標準的な住宅であれば、四隅に使うだけで必要な耐力を満たせる
- 裏側に何もないから、断熱材を入れることと電気配線をすることが簡単
- 千年以上の歴史を持つ板倉造りを、簡単に造れる
JPウォールの建設風景です。
2. きぐみの壁 (構造材)
格子状の耐力壁で、採光・通風を確保しつつ、地震・風に対抗する能力があります。最後の調整は現場の大工による作業になるので、技術継承の一翼も担っています。
商品特徴
- 木組みによる高い靭性
- 木組みそのものの美しさ
- 4寸桧無垢材を使用
- 業界初の木造格子耐力壁として、国土交通大臣認定を取得
施工事例と、現場での作業の様子です。
3. Jパネル (壁・天井の仕上げ材、構造材)
ただの木材から木質材料へ進化させるために、12mm厚の国産杉を3枚重ね合わせたCLT(直交集成板)です。
商品特徴
- 壁倍率2.5倍の国土交通省認定を取得
- 36mm厚の分厚いパネルで、耐火構造(外壁)と準耐火構造(床・屋根)の国土交通大臣認定を取得
- シックハウス症候群に対応するため、ホルムアルデヒドを含まない接着材を使用
- 木材の繊維が直交するように貼り合わせているから、反り・狂いが少ない
個人住宅リビングの壁と天井に使われた写真です。
4. シータイル:多摩産杉 (フローリング)
多摩産杉を使用した複合フローリングです。厚さが3mmと薄いので、上張り施工をするリフォーム向け。
商品特徴
- 厚さ0.2mmの多摩産杉を使用してるから、印刷ではない木目の美しさがある
- 表面はPVC(ポリ塩化ビニル)で、耐久性・耐水性に優れている
- 一般的なPVCタイルの約3倍の耐摩耗性がある
- 厚みは3mmと薄いので、既存の床にそのまま貼れる
施工事例はこちら。
5. BALL GUARD「ボールガード」(ルーバー)
木とアルミを組み合わせ長期間の使用にも耐える、体育館の開口部向けルーバーです。
商品特徴
- ルーバーに木材・スチールより軽いアルミを使うことで、軽い力で開閉できる
- 幅1500mm×高さ2700mmまで製作可能
- ルーバーに傾斜があるから、強い光を遮りやわらかい光を取り込むブラインド効果がある
- 木材の角には丸みを持たせ、ハズレ止め機構と手挟み防止ゴムを採用した安全設計
体育館への施工例がこちら。
6. 漣 (室内ドア)
高気密高断熱の住宅が増え、建物内で空気を循環させることが重要となりました。そこで襖や障子のように、気配を感じられる程度の仕切りとして作られた室内ドアです。
商品特徴
- 国産杉を使用
- 開き戸・引き戸、どちらでも使える
- 「機械の精密加工技術」と「職人の感性」を合体したつくり込み技術
- 2010年度のグッドデザイン賞を受賞
施工事例はこちら。
7. 安ら木・安ら木2 (防音壁)
間伐材を利用した木製防音壁です。従来の道路防音壁は金属製ですが、天然木の温かみがありながら金属製に劣らない防音性能を持っています。「安ら木」は2mパネルのスタンダードタイプで、住宅・小型店舗向け。「安ら木2」は金属製の防音パネルと取替えられるよう開発された、4mパネルの横長タイプです。
商品特徴
- 木材は防腐処理がされており、耐久年数は約15年
- 特許工法により内部に水が溜まらない構造
- 表面保護シートで、紫外線による吸音材の劣化を防止
- 旧日本道路公団の定める防音性能の基準値をクリア
8. ブロッキー (エクステリア)
信州産のヒノキ材をつかった、エクステリア用木製インターロッキングです。
商品特徴
- 信州産のヒノキ材を使用
- 防腐薬剤加圧注入処理済みで、5年経ってもヒノキの香りがする
- 寒冷地での屋外で使えるように、嵌合構造が採用されている
長野県のJR松本駅北側に施工されています。昨日記事にしています。
9. PANE Lovuer (ルーバー)
柔らかにプライベートを守りながら、通風も得られる木製ルーバーです。
商品特徴
- 工場で製材・組み立て・塗装まで施してパネル化しているので、品質・精度が均一
- パネル化されているので、現場でセットするだけの簡単施工
- 繋ぎ目が分からない仕上がりになるので、長尺も対応可能
- 屋内・屋外で使用可能
屋外の施工例と、屋内の施工例です。
10. 飫肥杉赤身デッキ材 (ウッドデッキ)
宮崎県産の飫肥杉から、赤身のみを使用したウッドデッキです。飫肥杉は軽く柔らかいので、加工しやすくDIY用としても注目されています。
商品特徴
- 宮崎県産の飫肥杉のなかでも、耐久性の高い赤身のみを使用
- 表に生節(いきぶし)が現れるように製材し、見た目の美しさにこだわっている
- 天然乾燥と人工乾燥を組み合わせ、割れ・狂いの少ない仕上がり
- 木の4面全てに高精度機械でカンナをかけて、表面をなめらかにしている
施工事例はこちら。
まとめ
外国産の木材が多く使われている現状ですが、各社それぞれの視点で国産材を見直し商品開発をされていますね。日本の技術力の高さと合わさると、今後もっとすごい建材が出てくるのではないかと楽しみです。