「FC剤」でさらに進化した土舗装を、アスファルトとの比較で徹底解明
環境志向の中注目される土舗装
舗装には、コンクリート・アスファルトを主としたものが一般的に挙げられますが、近年地球環境への配慮の観点から、“土舗装”が新たに注目されています。
土のメリット
- 透水性 / 保水性に優れる
- 不燃性が高い
- 熱伝導率の低さ / 放射熱の低さを備える
- 自然環境に調和する
- 材料の調達が容易
- リサイクル性に優れる
土のデメリット
- 水による泥化 / 水たまりの発生がある
- 乾燥時に埃が舞う
- 雑草が繁殖する
- 強度が低い
- 耐摩耗性が低い
- 凍結 / 融解により性質が変化しやすい
土舗装は、土という自然の素材をメインに使用したもの。コンクリート・アスファルトなどの機械化に対応した耐久性重視の舗装に比べて、より自然を感じられるような景観を重要視する舗装手段です。
一方で、土舗装を固化するためのセメント・樹脂類の配合量の問題もあります。土ならではの自然の風合いを出したいが、強度・耐久性が落ちてしまうためセメントなどの固化剤を多く配合しているのが現状です。
土舗装のデメリットを解消する「FC剤」
そこで新たに生まれたのが、地球環境技術研究所が開発した「FC剤」です。土砂にセメントなどの硬化剤とFC剤を一定量配合し、その材料を用いて施工する方法は「リ・アース工法」と呼ばれます。
このFC剤を使用することで、「乾くと埃になる」「水に溶けると泥化する」という土舗装のデメリットを解消。セメントや石灰などの配合量を抑え、透水性・保水性などの特性や土独自の自然な風合いを残しつつ、強度や耐久性などにおいて高い安全性を得る土舗装になっています。
比較でわかる 「リ・アース工法」土舗装の特徴
FC剤を使用した土舗装が従来の性質とどれほど違っているのか、現在多く採用されているアスファルト舗装と比較して、その性質を見てみます。比較するのは以下の項目。
- 透水性
- 表面温度の変化
地域地盤環境研究所と地球環境技術研究所が共同で行った「土舗装温度特性実証試験」の結果を参考にしています。
透水性
こちらはアスファルト舗装とFC剤を使用した土舗装の舗装体の透水性試験。どちらも砕石路盤だった場合、FC剤使用の土舗装は、アスファルト舗装に比べ透水スピードが2倍以上も早く、透水性が高いことがわかりました。
舗装表面温度の変化
各種舗装表面温度の計測結果です。FC剤使用土舗装のエリアではアスファルト舗装のエリアに比べ、舗装の最高温度が約19℃低い結果となっています。
他にも、FC剤使用土舗装の表面温度が最高になった時点では、未舗装の表面最高温度に比べて2~4℃高くなりますが、夜間はどちらも外気温度まで下がり同じ温度になることも明らかになりました。
一方でアスファルト舗装の表面温度は、夜間になっても外気温度よりも5℃程度高いまま、熱を持ち続けていました。
FC剤で土舗装が建物内にも使用可能に
FC剤の使用は土舗装のデメリットを改善しますが、あらゆる性能がアスファルトを上回るわけではありません。強度面や施工性ではアスファルトが依然として上回ります。そのため、車道などの特に地面に負担がかかり頻繁なメンテナンスが求められる場所には、アスファルトがより適しています。土舗装が生きてくるのは、公園や住宅の庭園など自然環境と調和した快適さが求められる場所です。
しかし、FC剤を使用した土舗装は、従来の土舗装に比べて優れた強度を備えるようになりました。そのため、建築物の“中”に使用することも可能になっています。著名建築家がおすすめの建材を紹介するフリーマガジン「CLASS1 ARCHITECT Vol.04」では、建築家のSUEP.がFC剤入りの土舗装を別荘の建物内に使用していました。強度と耐久性を気にせず、熱しにくく冷えにくいFC剤土舗装の特性により、別荘内の環境が快適に保たれています。
SUEP.による「FC剤入り土舗装」のレビューはこちら
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FC剤を使った土舗装は、自然素材を使った設計、自然環境と調和する建築物を追求する方に試していただきたい工法です。
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