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透明感と開放感の追求か、存在感で魅せるか アクリルとガラスを事例で比較

高い透明性を持つ点において共通しているアクリルガラス。この記事では、アクリルとガラスの特性の違いに注目します。それぞれどのような場面で使用されており、どのような強みが活かされているのか。活用される場所に違いはあるのか。両者の特徴をより際立たせる事例で、アクリル・ガラスが活きる場所を見ていきます。

ドア窓編

広く安全に使うならアクリル


引用元:RoomClip
まずはアクリル板をドア窓に使用した事例。透明のアクリル板が、木材をメインに使った素朴な室内の雰囲気を邪魔せず馴染んでいます。ガラスに比べて強度があるため広い面で使用しても割れる心配が無く安心です。小さな子供がいるご家庭でも、衝突による怪我・破損等の安全面の懸念なく取り入れられます。

ドアの雰囲気を変えたいならガラス

デザイン性が高く種類が豊富なガラスは、ドア窓に使用することでドアの雰囲気をガラリと変えてくれます。視界を遮りつつ光を通す型板ガラスは、プライバシーは守りながら、明るく繋がりを感じられる家に変えてくれます。

間仕切り編

開放的な室内にするならアクリル

loftofloft モダンスタイルの寝室 の 松島潤平建築設計事務所 / JP architects モダン MDF

引用元:homify
透明性の高いアクリルの大きな間仕切りは、室内に解放感を与えてくれます。アクリルには透明な素材だけでなく、半透明・乳白色の素材などもあるため、光を通しつつ視界を遮る間仕切りにもおすすめです。

光の反射と質感を楽しめるガラス

こちらはガラスを間仕切りに使用した事例。様々なデザインをガラスをパッチワークのように組み合わせることで、オリジナルのパーテーションに。光の反射による様々なガラスの質感を楽しむことができます。

照明カバー編

形状にこだわるならアクリル


引用元:カーサ ブルータス
アクリルの優れた加工性を活かし自在に変形することで、デザイン性の高い照明カバーにも。こちらは、球形のアクリルを重ねて照明にしたものです。アクリル製の照明は、おしゃれなインテリアとして内装にも、または店舗の看板として外装にも活用されます。

照明に高級感を与えるならガラス

アクリルよりも耐熱性能の高いガラスは、照明カバーとしても使いやすく、高級感のある照明に仕上げてくれます。こちらの事例ではすりガラスを使用しており、照明の光をぼんやりと拡散し温かみのある雰囲気をつくりだしています。

窓編

外との繋がりを追求するならアクリル

STAIRCASE | 百日紅の家 | RC造高級注文住宅 モダンスタイルの 玄関&廊下&階段 の Mアーキテクツ|高級邸宅 豪邸 注文住宅 別荘建築 LUXURY HOUSES | M-architects モダン

引用元:homify
ガラスに引けを取らない透明性と耐候性から、ガラスの代用として採光板に用いられることの多いアクリル。トップライトに使えば、閉塞感のあったスペースも明るく開放的に見せてくれます。

阿倍野の長屋〈renovation〉-5段の距離がいい- 和風の キッチン の atelier m 和風 木 木目調

引用元:homify
こちらは、アクリル板を床の一部に使用した事例。採光窓を床につくることで、二階から一階へ、一階から二階への採光が可能になります。周囲を住宅に囲まれ、採光スペースがじゅうぶんに取ることができないお家に最適です。


引用元:建築家WEB
こちらは、窓部分を大きなアクリル面にした住宅の事例。接着が容易な特長を活かし、継ぎ目部分をなくした、全面が透明アクリルに囲まれた開放的な住宅を実現しています。

外装とマッチさせるならガラス

こちらは外窓にガラスを使用した事例です。外壁や窓枠のデザインに違和感なく収まっています。光の反射でガラスの模様を楽しむことができるだけでなく、視界を遮る効果もあるガラス窓になっています。

こちらは店舗の外装にガラスを使用した事例です。一面に透明ガラスを使用し、開放的なお店になっています。強度が4倍ほど高い強化ガラスを使用しているため、広い面での使用や店舗のように人が多く集まるシーンでの使用も安心です。

テーブルトップ編

割れない安全性を求めるならアクリル

アクリルをテーブルトップに使用することで、木目のあたたかみをそのまま感じられるテーブルに。アクリルのテーブルトップなら、ガラス天板のように割れる心配がありません。最近では、ガラスのように青みを加えた「ガラス色のアクリル板」もあり、アクリルでありながらもガラスのような高級感を感じられる天板も使われています。

小キズの付きにくさを重視するならガラス

ガラスをそのまま乗せるテーブル天板は、ガラスの透明性やガラス独自の青みがより際立つ事例です。ガラス越しにテーブルのデザインをよく見せる活かし方だけでなく、カラーガラスでテーブルをより印象的に見せることも。何よりアクリルよりも耐熱性に優れ、小傷が付きにくいためテーブルをしっかり保護してくれます。

ショーケース編

収納物をありのままに見せるアクリル


引用元:アクリ屋ドットコム
全面が透明アクリルでつくられた収納ケースは、接着等の加工が容易なアクリルの強みを活かした事例です。透明度の高いアクリルは、収納物をありのままに、美しく見せてくれます。またガラスと比べて軽量であるため、持ち運びも簡単です。店舗什器などに使用することで、ディスプレイの色味が映えるだけでなく、商品の入れ替えも楽になります。

青みと反射で高級感を出すガラス

ガラス特有の青みが、ショーケースに高級感を与えています。ガラス棚が商品を反射してディスプレイも美しく見せてくれます。この事例では強化ガラスを使用しており、通常のガラスよりも割れにくく、万が一割れた場合も破片が飛散しない作りになっています。ガラスを前面に使用したショーケースは割れが心配、という方も安心して使用できます。

外構編

割れにくさを屋外で活かせるアクリル

夜の外観 北欧風 家 の studio m+ by masato fujii 北欧

引用元:homify
アクリルはその優れた耐候性を活かして、外装にも使用されます。こちらのアパートでは、手すり部分にアクリルを使用しています。アクリル越しの景色が透けて見える手すりになっており、立体感・奥行きを感じられる外装です。


引用元:アクリサンデー株式会社
同じく、ガレージ屋根やカーポートにもアクリルが使用されます。カーポートといえば車を覆うように曲がった屋根をイメージしますが、アクリルのカーポートはその優れた加工性を活かして綺麗な曲線を出してくれます。

豊富なデザインを求めるならガラス

こちらはビルのテナント案内の看板にガラスを使用した事例。ガラスの透明感が建物に清潔感を与えています。ガラスを屋外に使用する際に心配になるのは耐候性です。この事例では、中間膜を二枚のガラスで挟んだ「合わせガラス」が使用されており、耐風圧、耐加重性能が増し、破損した際にも優れた飛散防止効果を発揮する仕様になっています。

こちらは、屋外のオブジェにガラスを使用した事例です。片面に凹凸のある型板ガラスをステンドグラスのように組み合わせています。ライトアップすることでガラスの質感がより際立ちます。ガラスのデザイン性の高さを活かした、飽きの来ないエクステリアになっています。

ガラスとアクリルの比較表

ひととおり事例を見たところで、ガラスとアクリルの基本的な性質の違いを確認しておきましょう。アクリルについては、その透明性は勿論のこと、ガラスよりも圧倒的に割れにくく加工がしやすい点がポイントでした。そのメリットを活かして、広い面に使用され空間に「ありのまま」感や開放感を与えていました。一方でガラスについては、傷の付きにくさとバリエーションが強みとして言えるでしょう。ガラス特有の青みがかった色には高級な印象を受け、また様々な模様の型板ガラスは、見ていて飽きがこない魅力があります。

アクリル ガラス(フロートガラスの場合)
強度 割れにくい 割れる
重量 軽い(比重1.19) 重い(比重2.5)
耐熱温度 80℃ 110℃
キズの付きやすさ 小キズが付きやすい 小キズが付きにくい
加工のしやすさ 接着・曲げ加工がしやすい 丁寧な扱いが必要
透明性 無色透明 無色透明(少し青みがかっている)
デザイン 半透明・マット調・着色などが可能 半透明・マット調・着色は勿論、アンティーク調・和風などデザインが豊富

アクリルは強度と加工性、ガラスは外観・デザイン性が活かされた事例が目立っていました。しかし、アクリルを自在に変形することで、アクリルそれ自体にデザイン性を持たせることが可能であり、またガラスについても、強化ガラスや合わせガラスなど、より機能性を重視した製品も活用されています。両者とも各々の弱点をカバーしうる可能性を持ち、日々進化していることがわかります。ガラスとアクリルは、ただ「透明で光を通すもの」という認識に留まらず、まだまだ建材としての表現の広がりを感じられる素材。今後も新しい活用事例が注目されます。

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