いぶし瓦が◯◯に大変身!?「ARARE」
こんにちは、ぱりすぱんです。まずは、こちらの写真をご覧ください。
タイルにしては立体感があり、石にしては優しい印象を受けるこの不思議な壁材は、実は瓦。今回は瓦を、個性的で存在感のある壁・床材へと生まれ変わらせた新しい建材「ARARE(アラレ)」のご紹介です。
瓦といえば屋根でしたが…
瓦は古くから日本の伝統的な建物に取り入れられてきました。その理由は寿命が長く、一部補修で長年使える便利な屋根材として親しまれてきました。
現在では、スレートやガルバリウムなどの選択肢も増えています。スレートは手入れが必要なものの、瓦よりも安価で、ガルバリウムは見た目がモダンな外観によく合いますが、瓦よりも軽量なので屋根への荷重により耐震性が落ちる心配もありません。
これらの材料の普及によって瓦は使われることが少なくなり、なんとなく「古い」イメージがついていました。
光洋製瓦の「ARARE(アラレ)」は、瓦素材の壁材・床材。今までの「どこか古い」印象は完全になくなりモダンでカッコ良く、モノトーンにも関わらず目を引くデザインです。
これまで瓦は間近で見る機会がありませんでしたが「ARARE」によって身近な素材となったことで、瓦の素材感を肌で感じることができます。
自然素材で、見た目の仕上がりも1枚1枚異なります。だからこそ、他の工業製品にはない魅力が感じられます。
使われている瓦は「いぶし瓦」
このいぶし瓦は昔から「神﨑瓦」と呼ばれる姫路北部を産地にもつ瓦です。姫路城の屋根にも使われており、耐寒硬質の性能も持っています。寒い地方や塩害のある地域にも安心して利用できる素材です。
「いぶし瓦」はその名の通り粘土で形成した後、煙(炭化水素を含むガス)でいぶします。いぶす際、素地に炭素を浸透させるため、仕上がりは中まで銀色のようなグレーになります。この「グレー」の色が、「いぶし瓦」の特徴にもなっています。
ちなみに製造窯元である光洋製瓦は姫路城大天守平成の大改修に携わっており、姫路城の瓦や鬼瓦の製作に加え工事にも参加している会社です。
瓦であることを想像させない4つのデザイン
1つめのデザイン
こちらのデザインは、いぶしの際にできる模様がよく見えるように作られています。広い面に使うと、その存在を強調しながらも自然素材の安らぎを与えてくれます。
2つめのデザイン
更に細かい正方形が組み合わされた、モザイクタイルのようなデザインのもの。1つ1つの正方形が出たり引っ込んだりしていて、タイルとはまた違った立体感があります。スリットが入ることでさらに浮き上がって見えます。
エレベーターホールに使えば、ワンポイントとして目を引くこと間違いなしですね。
3つめのデザイン
小さなレンガが積み重なった、柱のようなデザイン。いぶしならではの銀色の光沢が、ステンレスの文字盤とよく合います。一見無機質なようですが、近くに寄ると瓦の温かさを感じられる点がなんとも言えません。
4つめのデザイン
瓦を重ねたようなデザイン。これまでの四角形を使ったデザインとは異なり、より日本らしさを感じさせます。床の間に使用すれば掛け軸も見栄えします。
コストは課題ですが、施工はモザイクタイルと同様
とても美しいこの壁・床材ですが予算は必要。
床材「いぶし瓦タイル」は少しコストが抑えられたものもありますが、なかなか実際に選ばれることが少ないとのこと。石やタイルなど似たデザインのものが他にあるので、最終的にはコスト面からそちらを選択されてしまうのでしょう。
ですが施工は複雑ではなく、通常のモザイクタイルのように、裏ネット張りになっているので普通のボンドで張ることができます。
まとめ
2000年も続くこの「いぶし瓦」。その価値を届けようと、壁材や床材へと瓦が進化している、また進化しようとしている熱い情熱を私は感じました。既成概念を打ち破るこの姿勢は、胸にぐっとくるものがあります。
ぜひ手に取って、その脈々と受け継がれる熱い企業努力を感じ取ってもらえればと思います。
以上、ぱりすぱんでした!
この建材のポイント
オススメなのは? | 個性的な空間を作り出したい施主 |
---|---|
一番の強みは? | 日本古来の材料を使った、温かい質感 |
施工の強みは? | 洗面などの水回りへの施工もO.K. |