【集成材とは】DIYしやすい木の材料。樹種・構成でいろんな種類がありました!
目次
次の方におすすめの記事です(読了時間…5分)
- 集成材はどんなところに使うものか。
- 無垢材とのちがいは何か。
読み終えると…
- 集成材はどんな人に向いているのかが分かる。
- 無垢材とのちがいが分かる。
メラミン化粧板やコンパネなどを調べてきて、よく目にしたのが「○○集成材」。実は、建築の現場では多くのハウスメーカー・工務店が集成材を使用しています。
木材には、無垢材と集成材の2つが存在します。自然の木のぬくもりや香りを楽しむなら無垢材。というのはなんとなくイメージできますが、
「集成材ってなに?」
と、まったくイメージがわきません。そこで、集成材の基本情報(意味や種類)と、メリット・デメリットをリサーチ!無垢材とのちがいについても考えてみました。
では、いってみましょう!
集成材とは
そもそも集成材とは何なのかについて。簡単にいうと「木を集めてくっつけた木材」です。
意味
集成材とは、その名のとおり「材料を集めて成形した」人工の木材のこと。小さく切り分けたものを乾燥させて、接着剤で組み合わせています。100年ほど前にドイツで生まれたもの。日本で使われるようになったのはまだ十数年しか経っておらず、歴史の浅い&今後の進化が楽しみな材料です。
どんなところに使われる?
集成材は、
- 建物 : 柱・梁・床・壁
- 内装 : カウンター・家具・階段・巾木・机
など、建築材料として、建具材・内装材・家具材・棚板・階段材・枠材に使える万能アイテム!使っている樹木や組み立てる構成によって、集成材の性能が変わります。
集成材の種類
集成材は、大きくわけて「造作用集成材」「構造用集成材」「ハイブリッド集成材」の3種類。使う目的に合わせて分けられています。
造作用集成材
ラミナとよばれる挽き割った板(挽き板)や小角材などを、素地のまま接着剤で貼り合わせたもの。そのままでも素地のうつくしさを表せますが、美観を目的として化粧薄板を貼り付けた「化粧ばり造作用集成材」もあります。
豊富な品種・色・柄があり、さまざまなサイズ・形状に対応。まさに、家の造作(創作・造り上げる)のためにある集成材です。
構造用集成材
「ラミナを接着剤で貼り合わせる」という点では、造作用集成材と同じ。ただ、こちらは荷重や外力に対して壊れずに耐えられる力(耐力)に優れた板を使用しています。使用目的は、主に住宅などの建築物用。柱・壁・土台・床板・屋根板などに使われます。
特に、強度・耐火・耐力に優れた素材が必要な学校・体育館・事務所など大型の木造施設には、構造用集成材が欠かせません。本来、木には構造材としての鉄・コンクリートよりも優れた耐久性あるためです。
構造用集成材は、寸法と断面積(大断面・中断面・小断面)で分類されます。これらの基準は日本農林規格(JAS)によって定められており、スギ・ヒノキなどの樹種によって強度等級を構成。そのほか、使用環境やホルムアルデヒド放散量によってこまかく分けられています。
ハイブリッド集成材
素材の内部に鋼材を入れたのがハイブリッド集成材。火災が起きても燃え尽きることなく、自然に火が消える「燃えどまり」によって建物の崩壊を防ぐ効果があります。
2000年の建築基準法改正により、今までは制限されていた木材でも基準をクリアすれば「1時間耐火性能」が認められるように。火を1時間あて続け、そのあと放置しても燃えどまりが起きる集成材として、木質ハイブリッド集成材が完成しました。
国土交通大臣認定の集成材。これが登場したことで、今までは2階までしか建てられなかった、木造のオフィスビル・庁舎・学校・幼稚園などが、3~4階まで建築可能になりました。
ちなみに、ハイブリッドとは雑種という意味。「木材+鋼材」の2つの要素が混ざりあっていることをさしています。
日本農林規格(JAS)で定める「構造用集成材」
安全な木材を使うため、選び方のポイントの1つになるのが国の認定マーク。品質や性能の良い集成材には、JASマークが表示されています。
優れた品質の証「JAS」
画像提供 : 日本集成材工業協同組合
JASとは、英語でJapanese Agricultural Standard。農林水産省が定める「日本農林規格」の略称です。成分・性能等の品質についてJAS規格を満たす食品。一定の温度を保って流通できる加工食品などに表示されています。
JAS規格にはいろいろな種類があり、集成材も林産物として、接着・強度・ホルムアルデヒド放散量などについての検査を受けることが可能。見た目の品質だけでなく、中身までしっかりとチェックされ、検査に合格すればJASマークが取得できます。
挽き板(ラミナ)の構成例
画像提供 : 日本集成材工業協同組合
集成材を構成する挽き板(ラミナ)は、上記の画像のとおり、さらに細かく分類されます。
同じ品質のラミナを重ねて貼り合わせたものが「同一等級構成集成材」。積層する向きが横・縦のどちらかでさらに2つにわけられます。
外側にいくにつれ強度の強いものを使用したものが「異等級構成集成材」(対称構成・非対称構成・特定対称構成)。中心から外側に向けて、強度を同じ比率で構成したものを対象構成。より強度が求められる側に強度の強いラミナを配置したものを非対称構成。曲げ性能を優先したものを特定対称構成といいます。
樹種によって強度がちがう
分類の決め手となる強度は、曲がりにくさを表す「曲げヤング係数(E)」と、曲がりによる強さを表す「F」で等級区分されます。
画像提供 : 日本集成材工業協同組合
このように、樹種と構成などによって強度が違います。ハウスメーカー・工務店の取り扱っている集成材にはJASマークと樹種名・強度等級などが表示されているので、1度チェックしてみると良いでしょう。
強度のほかにも、ホルムアルデヒド放散量(最小でF☆☆☆☆など)や4VOC(トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン)放散速度など、「集成材をどこでどんな風に使えるか」という基準が決められています。
集成材のメリット・デメリット
集成材とは何なのかについてご紹介してきましたが、ここからは特に注目!集成材を実際に使ってみて感じるメリットとデメリットについてお話していきましょう!
集成材のメリット
集成材の利点は、主に以下の3点。
- 建物のかたちに合わせられる
- 強度・耐火・耐久性にすぐれている
- 反り・割れがおきにくい
集成材が広まった理由は、製造の手間がかからず熟練の技がなくても安定した完成品を提供できるため。また、強度を計算しながら、大きな断面・曲がっている形状のものが製造できます。
環境面においては、ゆがみの出やすいカラマツ・ゴムの木などが活用できるため、資源の使い方にもGOOD!見た目の悪い木材は、中に挟んで利用できるんです。
集成材になる前の小さな木材は、天然乾燥+人工乾燥で含水率を15%以下に落としています。しっかりと乾燥されるため木材の弱点である「反り・割れ」が起きにくく、施工後の床・壁などにすき間ができたりひびが入ったりしません。
集成材のデメリット
集成材のデメリットは「接着剤」を使っていることです。
- 老朽化とともに接着剤の耐久性が弱まってくる。
- 接着剤の中にシックハウス症候群の原因(ホルムアルデヒド)を出すものがある。
接着剤は人工のものなので、自然の木材と比べて劣化が早くなります。耐用年数が短く、「集成材の寿命=接着剤の寿命」といわれているとか。
からだに悪い影響を与えるホルムアルデヒドについても心配です。ただ、最近は放散しない製品が開発されているので、ぜったいに悪い!とは言えないでしょう。
木材は「集成材」「無垢材」の2種類
そもそも、木材には「集成材」と「無垢材」の2種類があります。
無垢材とは
無垢材とは、自然の木そのものを伐採して乾燥させた木材のこと。オーク(ナラ)・パイン(マツ)・チーク・メープル(カエデ)・バーチ(カバ)などがあり、樹種によって木目・色・肌ざわり・やわらかさなどに特色があります。
無垢材のメリットとデメリット
無垢材のメリットは、主に以下の2点。
- うつくしい木目・経年変化が楽しめる
- 調湿性・断熱性に優れている
丸太から切り出したままの自然な状態なので、木のあたたかみや風合いが楽しめます。使えば使うほど、味が出てくるのが無垢材だといえるでしょう。
木は、湿気が多いときは水分を吸収し、乾燥しているときは水分を放散します。これを調湿機能といい、屋内の湿度を一定にキープする効果があります。結露が発生しにくくなり断熱効果もあるので、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことが可能です。
一方、デメリットは、主に以下の2点。
- 品質にばらつきが出やすい
- 床や壁にひび・割れが出やすい。
木にはいろいろな種類があり、また、各々の育った年数や環境などでバラエティー豊か。変形・品質(強度・水分の量・節など)のばらつきがあり、良い1本を見極めて建築に利用するには熟練した技が必要です。また、施工後のひびや割れの可能性を極力減らすために、製造時点で十分な乾燥も必要。
日ごろのメンテナンスもちょっとした注意が必要。水分をなるべく吸わせないように、水拭きはNGで掃除機・クロスを使います。高温にも弱いため、ホットカーペットやファンヒーターを置くときは断熱マットを挟む必要があります。
無垢材の欠点をおぎなう集成材
自然の木のぬくもりは感じられるけれども、扱いがむずかしく施工後の反り・割れが不安な無垢材。一方、集成材はその欠点を以下のように解消できています。
(無)品質がばらつく→(集)安定
無垢材は伐採したままを使うため、その木の持つ特色が施工後に直にあらわれます。箇所によっては、ひびがあったり強度が弱いところも。
一方、小さな木材をくっつけた集成材は、加工時にしっかりと乾燥しやすく、構成を練ることで強度性能が統一できます。耐水性があるので、キッチンカウンターにもぴったり!幅・厚さ・長さなど、接着時に自由にデザインできるのも良いところです。
(無)床・壁にひびや割れが出やすい→(集)出にくい
丸太1本の無垢材は水分・乾燥に左右されやすく、加工時に十分な乾燥がされていないと変形しやすくなります。その結果、反り・割れによって床や壁にすき間が発生。一方、しっかりと乾燥できる集成材は無垢材と比べて反り・割れが発生しにくくなっています。施工後、お客さまからクレームが出にくいのは集成材だとか!
無垢材よりも安価な集成材~例~
さて、気になる価格です。集成材は木材をつなぎ合わせたもの。価格は、ハウスメーカー・工務店が取り扱うこともあってか、無垢材よりも安くなります。サイズが大きくなるにつれ、無垢材はその分大きな丸太が必要。節のありなしでも価格が大きく変わります。
- 熟練の技が不要で扱いやすい。
- 資源をムダにせず見た目の悪い木材でも使える。
これらが、集成材の価格を安くしているポイントだと言えるでしょう。
楽天市場やYahoo!ショッピングを見てみると、DIYで使える集成材が多く販売されています。
- 販売メーカー
- どんな樹木を使っているか
- サイズ(長さ・奥行・厚み)
- その他(カットのサービス有無など)
によって、価格がガラリと変わります。
たとえば、
樹種 | サイズ | 価格(税抜) |
パイン集成材 | 長さ600mm×奥行450mm×厚み24mm | 2,500円 |
レッドパイン集成材 | 長さ1825mm×奥行910mm×厚み12mm | 6,980円 |
などがあります。
集成材はこんな人におすすめ!
集成材の特長は、外からのチカラに強く、木材の懸念材料「反り・割れ」が出にくいもの。無垢材のように、木の本来の肌ざわりや経年劣化が味わいにくいのは残念です。でも、集成材にも木目や香りなど木を楽しむ要素はきちんとありますし、水に触れやすい・温度変化が起きやすい場所に使うのにもピッタリ。見た目をキレイに統一できるのも良いですね!
無垢材・集成材ともに、特長は一長一短。ライフスタイルや好みに合わせて選ぶと良いかもしれません。ただ、集成材は扱いやすい!DIY・工作・家具作りなど、自分で木材を使って何かを作りたい人に向いている材料だと思いました。
ちなみに、集成材は「しゅうせい」、無垢材は「むく」と呼ぶことが多いようです^^