【3分で読めるかも】珪藻土のメリット・デメリットまとめ
「珪藻土のメリット・デメリットについて知りたい!」
「珪藻土の塗り壁材を見かけるけど、根本的な特徴を知っておきたい」
今回はそんな方向けの記事です。前回記事で珪藻土の成り立ちや歴史について紹介しました。
おさらいすると次の6つがポイントでしたね。
- 珪藻土は珪藻という植物プランクトンの死んだ殻が沈殿して化石になった土のこと
- 珪藻土の「珪」は珪素(けいそ)の頭文字
- 珪藻は「ケイソウ」。中学の理科の教科書で実は出会っている
- その成り立ちから世界各国で採れる
- 日本各地では80ヵ所前後で採れ、利用方法は地域の特色に応じて様々
- 建材としての歴史は意外と浅い
これらを予備知識に今回は珪藻土のメリット・デメリットの知識を身につけましょう。
珪藻土のメリット
珪藻土のメリットは大きく分けると「調湿」「脱臭」「耐火」の3つです。
①調湿できる
最大の特長は調湿できる点です。調湿とは部屋の湿度状況によって、湿気を吸収したり放出したりしてくれる現象のこと。
これらを可能にしているのは珪藻土に空いている無数の小さな穴。これらが湿気を自動で吸ったり出したりします。直径は2~50ナノメートル(ナノメートル=10億分の1メートル)で、穴の数は木炭の5000~6000倍といわれています。
人間にとって快適な湿度40~60%を自動で保つ「呼吸する壁」ともいわれています。調湿は70g/㎡以上の製品が多く、比較される漆喰にはここまでの調湿性能がないものが多いです。
引用日 : 2016年11月29日
引用元 : 株式会社テラビックキョーワ
住宅では塗り壁材として使われています。夏場の暑く湿気が多い場合は湿気を吸収し、冬場の寒く乾燥している場合は放出するので結露対策建材としても活躍。
水を直に吸収する吸水性もあるので、最近ではお風呂上りのバスマット品も登場しています。
引用日 : 2016年11月29日
引用元 : 【厳選】珪藻土(けいそうど)バスマットおすすめランキング!安く購入できる方法も公開するよ
②脱臭・消臭する
2つめの特長は臭いを吸収する点です。そもそも臭いの正体は化学物質の分子で、それが鼻の嗅覚細胞にぶつかることで臭いを感じます。臭い分子は空気中の水分子(=湿気)に溶けるので、結果として湿気を吸収すれば臭いも消えます。
逆に湿気を出すときには臭いも放出される心配もわきますが、放出速度が極めて遅いため人間には臭いません。中には5年経っても猫の臭いが気にならない、という声も挙がっています。
③火に強い
融点は約1,250℃と七輪コンロや断熱レンガとして利用されてきたくらい火に強いです。
④色多い
漆喰と比べ、色のラインナップが豊富です。漆喰は無機物なため冬になるとカルシウムイオンが表面に浮き出て白いムラが出る白華現象が起きるデメリットがあり、そのため白色系のものが多いです。
一方、珪藻土では顔料(着色料)を混ぜることで数十種類から数百種類の色を出せます。ベージュや白色といった基本色を使いながらアクセントに富んだ青やオレンジの使い分けも可能です。
⑤自然素材である
珪藻土は珪藻という植物プランクトンの死んだ殻が沈殿して化石になった土のことです。自然素材にこだわりのある方におすすめです。前回記事をチェックしてみてください。
珪藻土のデメリット
①ぼろぼろ粉が落ちやすい
ビニールクロスや壁紙と異なり、なでると粉がぼろぼろ落ちる場合があります。手でなでると砂っぽい感じがします。試しにセーターでなぞってみると…
ただ最近ではこういったデメリットを改善した、ツルッとした珪藻土材も発売され始めています。リビングといった人・ペットの出入りが多い場所にはこういった商品を使いながら、
人の手が届きにくい天井には従来の風合い感のある商品を使うのも手ですね。
②混ぜる凝固剤・つなぎ材の影響を受け、効果が弱まる可能性がある
珪藻土は漆喰のような塗り壁材とは違い、それ単体では固まりません。そのため凝固剤(セメント、せっこう、ドロマイトプラスター、合成樹脂)を混ぜて施工します。混ぜる凝固剤には次の2種類に大きく分けられます。
自然素材にこだわるのであれば、このつなぎ材も自然素材系のものを選んでください。
合成樹脂をつなぎ材として多く使うと珪藻土の無数の穴をふさいでしまいます。例えるなら、スポンジにプラスチックでできた洗面器をかぶせるようなもの。スポンジを濡らそうとしても洗面器が水をはじき濡れませんよね。
「やったー!珪藻土だ!」と喜んでも、期待していた調湿・消臭効果が得られないケースがあるのはこれが原因です。珪藻土の含有率が50%以下になると漆喰よりも調湿性能が劣ると言われているため、珪藻土の含有率の高いものを選ぶといいでしょう。
③吸水性があだとなり、醤油をこぼすと染みになる
ビニールクロスや壁紙は醤油をこぼしてもすぐにさっと拭けば染みは残りませんが、珪藻土の場合は染み込みやすいので要注意です。
④建物のゆれでヒビ入る
こちらもビニールクロスや壁紙に比べての話ですが、②の凝固剤が少ない場合や、地震や道路からの振動で建物がゆれた場合にひびが発生する可能性があります。
漆喰やほかの土壁についてはあてはまることです。下地の伸縮によってもクラック(亀裂)が発生することもありますが、重ね塗りできるのでそこまで神経質にならなくてもよいかも。
引用日 : 2016年11月29日
引用元 : 珪藻土の上塗り。その後どうなる..?&天井編の巻き
メリット・デメリットのどちらにもなりうる特徴
①ざらざらしてる
ざらざら感が好きな方には良い手触りで、一般的な土壁とまではいかないものの確かな手触り感を感じられます。逆につるっとした質感がお好きであれば漆喰の方がよいです。一度メーカーサンプルを取り寄せ、実際に触ってみるとよくわかります。
②仕上がりが左官職人の腕に依存する
職人の腕によって表情が変わるのが塗り壁です。あえて表情をつけたい場合に二度塗りも多く、珪藻土の塗り壁も例外ではありません。施工費は2,800~4,000円/㎡というデータも。
A社 珪藻土施工費
1平米 / 4,000円
6畳一間 / 80,000円B社 珪藻土施工費
1平米 / 3,000円
6畳一間 / 60,000円C社 珪藻土施工費
1平米 / 2,800円
6畳一間 / 56,000円引用日 : 2016年11月29日
引用元 : 珪藻土で珪藻土リフォーム!珪藻土の選び方や費用は
まとめ
いかがでしたか?ポイントをまとめると
【珪藻土のメリット】
- 調湿してくれる
- 脱臭・消臭してくれる
- 火に強い
- 色多い
- 自然素材
【珪藻土のデメリット】
- ぼろぼろと粉落ちる
- 混ぜる凝固剤の影響を受け、強みが消える場合も
- 吸水性があだとなる場合がある
- 地震や道路からのゆれでヒビ入る
【どちらともいえる特徴】
- ざらざらした手触り(好み)
- 職人の腕に品質が依存する
珪藻土のメリット・デメリットは比較しての話ですから、何と比較するかで強みにもなり弱みにもなります。
迷わないためにはまず珪藻土そのものの特徴を理解しておきましょう。
珪藻土の塗り壁材を特集記事もあります。よければ引き続きご覧ください。