人が触れる場所に最適。著名建築家が「ポーラスコンクリート」を選んだ理由が比較でわかる
CLASS1 ARCHITECT Vol.25で、建築家岩瀬諒子氏が「トコトコダンダン」で使用した建材として紹介した、株式会社佐藤渡辺のポーラスコンクリート。
トコトコダンダンで使用したポーラスコンクリート
トコトコダンダンでは、平面と立面が同じポーラスコンクリートで構成され、「床にも階段にもなる」おおらかな場を作っていました。
なぜ、岩瀬氏はトコトコダンダンで株式会社佐藤渡辺のポーラスコンクリートを使用したのでしょうか?
今回は、ポーラスコンクリートと普通コンクリートを比較して、ポーラスコンクリートのメリットや、株式会社佐藤渡辺の特徴を見ていきます。
※ポーラスコンクリートとは
細骨材(砂)を使わずに、セメント・水・粗骨材(砂利)で作るコンクリート。コンクリートの中に連続した空隙があり、「雷おこし」のような外観をしています。
空隙率は25%~30%、圧縮強度は10N/㎟程度のものが多いです。
ポーラスコンクリートとコンクリートの比較
ポーラスコンクリート (透水コンクリート) |
コンクリート | |
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特徴 |
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コスト・工期 (※) |
工事費:6,900円 工期:打設のみ2日(養生別途) |
工事費:6,000円 工期:打設のみ4.5日(養生別途) |
主な用途 |
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※株式会社佐藤渡辺で、施工規模300㎡・施工厚さ10cmの舗装施工を行う場合
(用途:駐車場、施工場所:東京都内、昼施工)
ポーラスコンクリートは通常のコンクリートと比べて高い空隙率を備えることから、「水たまりができない」「表面温度の上昇を抑える」「緑化できる」「クラックが目立ちにくい」などのメリットを備えます。
一方で、ポーラスコンクリートは非常に硬く、生コンクリートと違って流動性がありません。そのため階段などの立面を施工しようとすると、各層毎に分離したような層状の模様ができやすくなります。
このように、環境性・透水性に優れる一方で、立面の施工が難しいため、主に道路の舗装で多く使用されています。
立面・平面がシームレスに繋がる
岩瀬諒子氏が使用したポーラスコンクリート
CLASS1 ARCHITECT Vol.25に出演した建築家・岩瀬諒子氏が「トコトコダンダン」で使用したのも「ポーラスコンクリート」でした。
トコトコダンダンでは雨が降った後にも人が座ったり、触れたり、くつろいだりすることが想定されたため、透水性が良くベタつかないポーラスコンクリートが採用されました。
そして、数あるポーラスコンクリートの中から岩瀬氏が選んだのは、道路舗装工事を中心とする建設会社・株式会社佐藤渡辺のポーラスコンクリートです。
ポーラスコンクリートで立面を施工
「できる限り『この場所はこう使います』と決めたくなかった。階段や壁を同じ素材で作って、階段なのか床なのか壁なのか、はっきりしないデザインにしたかった」という岩瀬氏。
平面と立面に同じ素材を使うことを意識して素材を徹底的に探していた岩瀬氏は、株式会社佐藤渡辺から「1メートル程度なら、ポーラスコンクリートで壁がつくれるかもしれない」と言われ、「これならイメージ通りのデザインができる」と採用を決めたといいます。
先述のようにポーラスコンクリートは立面での施工が難しく、舗装として平面に施工されることが多い建材です。そこで株式会社佐藤渡辺は、トコトコダンダン用に特注製作したバイブレーター(※)を用いてポーラスコンクリートを施工。
そうすることで、分離や模様を極力出さない、シームレスにつながる外観を可能にしました。
※コンクリートに振動を与えて締め固めるための機械
岩瀬諒子氏による「ポーラスコンクリート」のレビューを無料公開中
CLASS1 ARCHITECT Vol.25では、岩瀬諒子氏による「ポーラスコンクリート」のレビューを全文無料公開しています。
公園や遊歩道、外構などに使用する素材選びの参考に、ぜひご覧ください。