国産材がメジャーに!?「森林・林業基本計画」で2025年に供給量1.7倍に
2016年5月24日(火)に政府より新たな「森林・林業基本計画」が閣議決定されました。今後10年、2025年に国産木材の供給量を1.7倍に増やすという計画。
目的は、国産材の主伐・植林などの再造林対策の流れをしっかりと強化し、国産材を安定的に供給できる体制を国内に作ること。そして国内の林業を活性化させるためのテコ入れです。
原因はココ!国産材の需要が伸びていない現状
スギなどは水分をたくさん含んだ木材なので、十分に乾燥させないと反ったり縮み、強度も高まらないもの。一方で、高温のもと短時間で人工乾燥させた木材は、細胞が破壊されて強度が劣化していることが多いといった課題が。
乾燥技術は非常に難しく、原木価格は外材より安くなっているのに製材品となると外材より高くなっているわけですね。なので、工務店も国産材を選びにくい…。
そして、国産材の利用も積極的に進まず林業も衰退の一途をたどり、質の向上・効率化・低コスト化が進まないのが現状です。
新たな「森林・林業基本計画」でこう変わる
今回発表された「森林・林業基本計画」では、木造ビルを実現する木製の新建材「CLT(直交集成板)」の普及や、木材チップなどを燃料とする「バイオマス発電所」の建設で、国産材の需要を作り出します。
国産材の利用割合を増やしつつ、国産材の新しい需要を作り出す流れに!
林野庁のサイトでは次のように書かれています。
新たな基本計画のポイント
- 資源の循環利用による林業の成長産業化
本格的な利用期を迎えた人工林(育成単層林)において先行的に路網を整備するとともに、主伐後の再造林対策の強化などにより森林資源の循環利用を進め、林業の成長産業化の早期実現を図ります。- 原木の安定供給体制の構築
大型化する製材・合板工場や木質バイオマスのエネルギー利用の拡大などに対応するため、面的なまとまりをもった森林経営の促進等により原木供給力を増大させ、安定供給体制の構築を図ります。- 木材産業の競争力強化と新たな木材需要の創出
品質・性能の確かな製品供給や、国産材を使用した横架材等の開発・普及等により木材産業の競争力を強化します。さらに、CLT等の新たな木質部材の開発・普及や、従来木材が利用されてこなかった非住宅建築物等の分野での木材利用を促進し、新たな需要を創出します。
- 引用元 : 森林・林業基本計画 | 林野庁
- 引用日 : 2016年5月27日(金)
工務店に直接恩恵があるというよりも、建材選びの面で国産材をつかったものを目にする機会が増えてくるでしょう。もちろん、国産材が積極的に日本に流通する流れができることで、国産材の質の向上や価格面でのメリットも考えられます。
将来、国産材が積極的に使われるように!
今回閣議決定した新しい「森林・林業基本計画」が実際にうまく稼働すれば、国産材の積極活用につながります。
国産材を直接使うことはもちろんですが、国産材を使ったCLT(直行集成板)のように、国内の木材を活用する場面も増えれば、林業も活性化し、乾燥技術の効率化、大径材の製材・乾燥技術の確立によって品質・性能の確かな製品供給も見込めるといったメリットもあります。
低コストでの乾燥材、集成材、合板等の供給ができるようになることで、工務店の建材選びにも影響が出てきそうですね!
日本で育った国産材を使用して建てた住宅は、日本の気候、風土に合った住宅。木目がまっすぐで美しく、肌触りが滑らかな国産材が今後もっと建築の場で使われると嬉しいですね!