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美術館照明の選び方。スポットライトとウォールウォッシャー照明を比較

CLASS1 ARCHITECT Vol.22 で、建築家浅子佳英氏が八戸市美術館に使用した照明として紹介した、山田照明株式会社の「システムレイシリーズ」。

八戸市美術館の展示スペース「コレクションラボ」の、作品を照らすウォールウォッシャー照明(ベースタイプ)として使用されました。

ウォールウォッシャー照明とは、壁面全体を光で洗い流すように、均一に照らす照明のこと。ビルや美術館などで使われることが多く、住宅ではあまり馴染みのない照明です。

今回は、同じく美術館などでよく使用されるスポットライトと、ウォールウォッシャー照明(ベースタイプ)を比較します。

それぞれの照明の使い方を押さえる中で、CLASS1 ARCHITECT Vol.22で紹介した山田照明株式会社の「システムレイシリーズ」ならではの特徴もわかりやすくご紹介します。

美術館で使用される照明の3つの特徴

高い演色性

美術館の照明は、まず展示作品の色や素材感を忠実に表現することが求められます。色や素材感を忠実に表現するために必要なのは、演色性の高い照明を使用することです。美術館には、Ra(平均演色評価数)≧90が適しているとされています。

照度の調節

さらに、照明からの紫外線・赤外線が展示作品に影響を与えないようにすることも重要です。作品に対する紫外線や赤外線の影響は、JISの照度基準で定められています。

照明による影響を
非常に受けやすい
(照度基準 150~300 lx)
水彩画、素描画、泥絵具、織物、印刷、壁紙、切手など
照明による影響を
受けやすい
(照度基準 300~750 lx)
油絵、テンペラ絵、木製品、漆器など
照明による影響を
受けにくい
(照度基準 750~1,000 lx)
石、宝石、金属、陶磁器など

壁面を照らす

演色性や照度だけでなく、光を当てる場所も住宅などとは異なります。美術館は壁に展示物が掲げられることが多いため、壁を照らすことができるスポットライトやウォールウォッシャー照明がよく使われます。

スポットライトとウォールウォッシャー照明を比較

スポットライト

個々の展示物に合わせてライティングを調整したいときには、スポットライトが使われます。

壁面全体を均一の照度で照らすウォールウォッシャー照明と異なり、一つ一つの展示物に合わせて照度や照射時間を設定できます。

また、美術館では、壁に掛かっている特定の絵画を照らすように使用されます。そうすることで、空間の中で作品に視線を集めることができ、狭い空間でも奥行きをもたらすことができます。

ウォールウォッシャー照明

照明器具の見栄えが気になる場合や、光ムラを出さずに綺麗に見せたい場合は、ウォールウォッシャー照明がおすすめです。

壁に美術作品を何枚も並べる場合、スポットライトを使用すると、照明器具をいくつも並べなければいけません。また、スポットライトを使って一つ一つ綺麗に照射するのは高い技術が必要です。

ウォールウォッシャー照明で連続的に照らすことで、毎回ライトの位置を調整する手間をかけずに、光のムラなく作品を照らすことができます。また、天井面もすっきりと見せることができる点もウォールウォッシャー照明の特長です。

山田照明株式会社のウォールウォッシャー照明
「システムレイシリーズ」ならではの特徴とは

CLASS1 ARCHITECT Vol.22で紹介した、建築家の浅子佳英氏が「八戸市美術館」の照明に使用したのもウォールウォッシャー照明です。

国宝や浮世絵など、美術館所有のコレクションを複数並べて展示する「コレクションラボ」に使用されました。
※一部スポットライトも使用されています

浅子氏は、ウォールウォッシャー照明を採用した理由について以下のように説明しています。

 建築家 浅子佳英氏

スポットライトを使うと天井面が正面器具だらけになるし、並べるのが少し手間ですよね。綺麗に照射するには技術が必要で、一般の人が適当にやると光ムラが出てしまう

八戸市美術館のスタッフも毎回位置を調整するのは大変だから、壁面を一様に明るくする照明を最初に付けた方が良いだろうと。そのような考えから、ウォールウォッシャーの器具を探しました

引用:山田照明株式会社

なかでも山田照明の「システムレイシリーズ」は、幅73mmのスリムなデザインが特徴。他社製品よりもコンパクトな製品であることが決め手となり採用したといいます。

美術館照明は、照らす対象(美術品)を目立たせることが大切です。浅子氏は、数あるウォールウォッシャーのなかでも、照明の存在感を抑えたすっきりとした意匠の「システムレイシリーズ」がふさわしいと考え、採用に至りました。

八戸市美術館で使用した7つの建材を無料公開中

CLASS1 ARCHITECT Vol.22では、今回紹介した「システムレイシリーズ」のほか、八戸市美術館に使用した7つの建材を紹介しています。

設計を担当した浅子佳英氏のレビューも併せて公開していますので、美術館・博物館などのデザインをされる方はぜひご覧ください。

建材ダイジェスト 編集部

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