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【GLASS : #03】ふしぎ物質!ガラスのユニークな性質を調べてみました。

ふしぎ物質!ガラスのユニークな性質を調べてみました

こんにちは。建材ダイジェスト編集部です。「Material Journey(マテリアルジャーニー)」ガラス編。第2回では、色々なガラスの成分をまとめました。第3回はガラスが持つ様々な特徴、性質についてお伝えします。

ガラスの性質その1 : 透明度が高い。

最も大きな特徴は、言うまでもなく光を通すこと、つまり透明であることです。透明だと、どのような特徴があるのでしょうか。

透明ならではの特徴 : 気密性と採光を両立できる。

窓の基本的な役割は、外の光を室内に取り入れること(採光)と、空気を通すこと(換気)。このうちガラスが関わるのは採光です。

ガラスは透明であるために、屋内と屋外を遮断しながらも、部屋の中を明るくすることができます。つまり室内温度を保ちながらの採光が可能。これが窓に使うガラスの最も基本的な性質と言えるでしょう。

固体とガラスの光透過概念図その1

それでは、なぜガラスは透明なのでしょうか。その理由は次にご説明する性質に関わります。

ガラスの性質その2 : 固体でありながら液体

私たちが普段目にするガラスは、指で叩けばコンコンと音が出ます。どう見ても固体ですが、ガラスは完全な固体(結晶質)ではありません。

ガラスは一定の温度(ガラス転移点)以下では固体、それ以上の温度では液体になる性質を持っています。ガラス転移点以下のガラスが固体(の性質を示す)。これを「ガラス状態」と呼びます。

結晶体とガラスの構造概念図

参照 : 社団法人 日本建築学会編著『ガラスの建築学 光と熱と快適環境の知識』25頁

ガラスが光を透過するのは、固体に比べて緩やかな構造をしている(液体に近い)ため、光を遮ることが少ないからです。

固体とガラスの光透過概念図その2

良いところ : 大量生産と色々な加工が可能

ガラスは温度によって液体になったり固体になったりします。この性質の長所は、様々な加工ができること。

ガラスを製造する最初の段階では、高温の溶融ガラス(液体のガラス)を扱います。液体なので、型にはめれば同じ形のガラスを大量生産することができます。

また#1でご紹介したように、網を入れれば網入りガラスに、専用のロールを使えば型板ガラスになります。

こうした加工ができるのも、ガラスが液体と固体、両方の性質を持っているからなのです。

ガラスの性質その3 : 寿命は半永久的。

ガラスという素材自体は、年月の経過による劣化がありません。紀元前に製造されたガラスの器でも、そのままの形で見ることができます。

もちろん何か物が当たれば傷がついたり、割れたりすることもあります。ガラス表面の傷が多いほど割れやすくなります。

「白やけ」にご注意!

ガラス表面に水滴が付いて、自然に乾燥。これを繰り返すと、ガラスの表面が白く濁る「白やけ」という現象が起こります。

これはガラスの成分であるNa(ナトリウム)が水に溶けて、乾燥することで塩(炭酸ナトリウムなど)になることで発生します。白やけは洗っても落ちないので、そうなる前に掃除をしましょう。

参照 : ガラスと水|中島硝子工業株式会社https://www.ngci.co.jp/tech/tech_kn23.html
参照日 : 2017年11月10日

ガラス自体は半永久的にその性質を保ちますが、実用品として長く使うためにはお手入れが大事ということですね。

ガラスの性質その4 : 熱伝導率が小さい。

ガラスは金属などの固体に比べて、熱が伝わる速さ(熱伝導率)が遅い。この性質を上手く利用した製品が「強化ガラス」です。

ガラスは完全な固体(結晶体)ではないため、一般的に他の素材よりも強度は劣ります。その弱点を克服したのが強化ガラス。通常のガラス(フロートガラス)に比べて強度が3倍以上。万が一割れても細かい粒状になるので、手を切ることはありません。

普通ガラスと強化ガラスの割れ方比較

参考 : 強化ガラス(風冷強化ガラス)の加工・販売はオーダーガラス板.COMhttps://www.order-glass.com/kyouka.html
参照日 : 2017年11月10日

強化ガラスの作り方

まず、通常のガラスを加熱します。ガラスが軟化する手前まで温度を上昇。その後、空気を吹き付けて急速に冷やします。

ガラスは加熱すると体積が膨張。反対に冷やせば収縮します。ここで一気に冷やすと、ガラスの表面と内部で収縮する度合いに差が発生。その結果、ガラスの表面と内部で構造に違いが生じて、衝撃に強くなるのです。

こうして強化ガラスが完成します。

強化ガラス製造の様子

強化ガラスを製造する様子。フロート板ガラスを青色の機械に入れて、強化加工します。機械を出る頃には立派な強化ガラスに成長しているでしょう。

ガラスの性質を利用した強化加工

強化ガラスは、ガラスの熱伝導率が小さいという性質により作ることができます。もしガラスが金属のように熱伝導率が大きく、急冷したとき表面も内部もすぐに冷えてしまうなら、構造の違いが起きません。

強化ガラスは、熱伝導率が小さいというガラスの性質をうまく利用した製品なのです。

まとめ

以上、ガラスの性質をご紹介してきました。まとめると、次のようになります。

ガラスの性質まとめ

  1. 光を透過する
  2. 固体と液体、両方の性質を持つ
  3. 経年劣化しない
  4. 割れやすい
  5. でも割れにくく加工できる(熱伝導率が小さいから)

こうして調べてみると、ガラスって不思議な物質ですね。マテリアルジャーニーでは、これからも色々な視点から建材を解き明かしていきます。第4回は様々なガラス製品をご紹介。お楽しみに!

参考文献

  • 社団法人 日本建築学会『ガラスの建築学 光と熱と快適環境の知識』株式会社学芸出版社、2004年
  • 『商店建築 2016年8月号』「新・硝子素材考」株式会社商店建築社
建材ダイジェスト 編集部

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