屋上緑化の定番セダムの弱点克服!?スナゴケ「ECOKE」
ヒートアイランド対策の屋上緑化植物として、ドイツで良く見られる多肉植物「セダム」が定番ですが、25℃以上の気温下では蒸散しない(=ヒートアイランド対策にならない)という弱点も。25℃を超える夏日が続出する今、工場立地法にもとづく緑地面積の参入に加え、ヒートアイランド対策も見込める建材がほしいといったニーズが生まれています。
そんな中、先日5/24~27の4日間に東京ビッグサイトで開催された「2016地球温暖化防止展」を取材。そこでセダムに代わる「スナゴケ」を使った屋上緑化建材「ECOKE」(塩谷建設、富山県高岡市)を発見!聞くと、約5年の歳月をかけて誕生。環境問題を自分事と捉え、「少しずつでも緑を増やす」との思いがそこには根付いていました。
なぜスナゴケを採用したのか
採用された植物はスナゴケということですが、
そもそもスナゴケとはどんな植物なのでしょうか?
調べてみると、次のことがわかりました。
- シッポウゴケ目ギボウシゴケ科
- 北半球の温帯から亜寒帯に生息し、マイナス20℃から70℃まで耐える
- 一ヶ月水をあげなくても雨水で良く、灌水設備も不要。
- コケなので、土不要。根もない。
- 伸びても3~5cm
- 乾燥しても仮眠状態になり、水を与えれば再生する
非常にタフな植物ですね!ついでに緑化によく使われる植物「セダム」「芝」と比較してみました。
スナゴケ セダム類 芝 重量 2.5kg/㎡
(湿潤時13kg/㎡)40kg/ ㎡~60kg/㎡ 30kg/ ㎡~60kg/㎡ 潅水 不要 必要(手動や潅水装置)
季節毎に設定の変更は必要必要(手動や潅水装置)
季節毎に設定の変更は必要除草 不要 春・夏・秋(年3回)
雑草が種を落とす前に除去春・秋(年2回)
雑草が種を落とす前に除去施肥 不要 春・秋(年2回) 年1回 土壌 不要 必要
(土壌の流出で排水溝が詰まる可能性がある)必要
(土壌の流出で排水溝が詰まる可能性がある)病害虫防除 不要 夏・秋 夏・秋 季節による変化 あり
(季節を通して若干変化)あり
夏は部分的枯損、冬は冬枯れあり
夏は部分的枯損、冬は冬枯れ蒸散効果 あり なし(昼に気孔を閉じ、蒸散をとめるので、昼間に冷却効果が期待できない) あり 踏 圧 弱い 弱い 強い 引用元 : アルキ造園設計事務所ホームページ
みると、スナゴケには路圧に弱い欠点も。人通りが激しい場所には不向きですが、人の出入りがない屋上や路面電車の線路部分に向いています。ECOKEの重さは乾燥時8Kg/㎡、湿潤時30Kg/㎡となります。塩谷建設さんは、3,000㎡の休耕地を利用した土地でスナゴケを栽培。栽培期間は約2年。
引用元 : 塩谷建設ホームページ
折板屋根・トタン屋根にも施工できる
折板屋根に設置できるのもECOKEの強み。専用金具があり、はぜにかしめてとめます。コンクリートの屋上であればピン固定でOK。施工対象は、工場、公共施設・福祉施設、マンション、河川の護岸、法面。これといったメンテナンスも不要。
引用元 : 塩谷建設 ピースレポート
屋上緑化すると本当に温度下がるの?
屋上緑化をすると温度が下がるのか疑問に思ったので調べました。国土交通省の統計によると、緑化していない「屋上タイル表面」は日中51.7℃まで達したのに対し、「芝生表面」は32.5℃と、19.2℃の低減効果があります。夜間はそれぞれ33.8℃と29.6℃と、4.2℃の低減効果に落ち着くようです。
コケ主体の屋上緑化は3.2%とまだまだ少数派(平成25年時点)
引用元 : 国土交通省 【全国屋上・壁面緑化施工実績調査の結果】平成26年9月2日
一口に「屋上緑化」といっても、使われる植物は様々。屋上緑化の全施工面積に占める芝の割合が21.2%、セダムが22.8%に対し、コケは全体の3.2%と少数派です。ヒートアイランド対策に貢献する「屋上緑化」もあれば、工場立地法の緑地面積の算入義務を果たすだけの「屋上緑化」も。そこに存在する植物にも注目すれば、さらに一歩進んだ「屋上緑化」に近づくのではないでしょうか。
この建材のポイント
オススメなのは? | 屋上を緑化したいし、ヒートアイランド対策にも貢献したい |
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一番の強みは? | スナゴケの生命力が高く、枯れにくい |
施工の強みは? | 折板屋根にも後付けで取付け可能 |