インダストリアルデザインにも使える!ガラスのおしゃれな施工方法 ~パテ編~
最近インダストリアル系のリノベーションが人気ですよね。
インダストリアルデザインとは大量生産される工業製品(家具・電化製品・自動車など)の性能と美しさの両方を追求する工業デザインのことを言います。
内外装のデザインとしても「工場のような無骨さがありながらもスタイリッシュなデザイン」として男性を中心に人気ですよね。
そういった建物に近づける施工方法としてガラスをパテでとめる方法をご存知でしょうか?
今回実際のリフォーム事例をもとにみていきましょう。
おしゃれなガラスをパテでとめている
見つけたのはこちらのお店。
雑貨屋もしくはアンティーク用品店のような雰囲気が出ています。
別の角度からみてみましょう。
雪もちらつくなか、無機質ながらもなんだかホッとする暖かさを感じます。
コンクリートのように見える外壁材は吉野石膏のデラコンクリートをつかっています。
ガラスに近づいてみます。白いサッシのように見えたもの、これが実はパテ。
工場や昔ながらの建物にはよく使われていたと聞きますが、私ははじめて見ました。
(もしくは見たことはあっても、知識がなかったため気づかなかったのかもしれません。)
さらによ~く見てみると鉄格子線の中央に向かいパテが山なりに塗られていることがわかります。鉄とパテ。これが無機質ながらもあたたかみを感じるポイントな気がします。計51枚の泡入りガラスを用いており、施工は丸4日間/人かかったそうです。
裏側にまわるとこんな感じ。格子裏面は平らで、ちょっと白くはみ出し気味のものがパテ。
はまっている泡入りガラスはこんな感じに目隠し効果を発揮します。外と店内をゆる~くつないでいます。
ゆらぐガラスについて過去に「昭和レトロ風ガラス」という製品を記事にしていますので、こちらもご一読ください。
せっかくなので建物に使われている他の建材もみてみた
せっかくなので建物に使われている他の建材もみてみましょう。
さっきの壁の裏側にまわると、このような通路があり、右手の引き戸をあければ店内です。
もともと左側の壁はなく手前の柱だけで、ガラスがはまっている壁はありませんでした。
看板には「木毛セメント板」を使っており、スタイリッシュながらもホッとした感じがします。
引き戸も木板をあてることで温かみがグッと増しています。
こちらの「bakerium(ベイカリウム)」さんではパンがガラスのショーケースに入っています。これはお客様との会話を通しながらの対面販売を基とし、「日常にちょっと特別感を感じてもらいたい」という店主の想いを反映しています。
内壁は吉野石膏のU-TOPという左官下地材を使っています。
一見珪藻土のようにも見えますが、マットな感じに仕上げつつも比較的安価におさえたいならおすすめの手法です。
床はグレー系の塗料をぬった後に紙やすりでこすってエイジング加工を施しました。
左に見えるタイルはレジカウンター下の腰壁です。
通りに面している外のお店看板はこんな感じです。材料はさきほどと同じ木毛セメント板を使っています。
水に濡れると木毛がほどけるリスクはあるものの、いい感じに経年美化してシンボル化するかもしれませんね。
まとめ
店主の山岸さんはこう言います。
「ふつうパン屋さんというと、トレイを持って、好きなパンを入れ、レジに持って行って『ありがとうございます』と言われてお店を出る、という流れがほとんどですよね。
でも私はお客様との会話を大切にして『ちょっと特別なパンを買ったんだ』とほっこり幸せになれるようなパンを提供したいんです。
パンの価値を上げて、ちょっと特別な空間に足を踏み入れた、そんな雰囲気に仕上げたくて、スタイリッシュながらもどこかホッとくつろげるお店デザインをコンセプトにしました」
空間から建て主を見て、足を踏み入れたらビビ~ン!と伝わる建物で、私にとっても貴重な経験となりました。
インダストリアルデザイン系のインテリア用品もたくさん出ていますが、ガラスのはめ方や建材の選び方にも気を配ると雰囲気がグッと増すのではないでしょうか。