結露対策にペアガラスにするなら知っておきたい基礎知識
目次
以前、窓の結露対策をしたい方向けに結露対策の方法を紹介しました。
そのなかにペアガラスへの交換による結露対策がありましたが、今回はペアガラスに変えるなら知っておきたい基礎知識をまとめました。
1. 結露対策にペアガラスにすると厚みが増し、サッシにはまらない場合も
窓の結露に困っている方は、1枚のガラスが嵌っている単板ガラスの窓ですよね。
ペアガラスはその単板ガラスが2枚と、ガラスの間に空気層があるのでガラスの厚みが増します。
1-1. 一般にペアガラスは12ミリ以上が多い
作られているペアガラスの空気層は6ミリか12ミリで、空気層が厚い方が断熱性(=結露のしにくさ)が高くなります。
ガラスの厚みが2ミリだとすぐに割れてしまうので、一番薄いガラスの厚みは3ミリになります。
つまりガラス3ミリ+空気層6ミリ+ガラス3ミリの、合計12ミリが一番薄いペアガラスです。
1-2. ガラスが入る溝の厚みは9ミリが多い
一方既存の単板ガラスの入っているアルミサッシについて、ガラスの厚みは3ミリ・4ミリ・5ミリ・6.8ミリのいずれかです。
そのガラスが入っている部分の、溝の厚みは9ミリがほとんど。
ガラスを入れる溝の厚みが9ミリなので、一番薄い12ミリのペアガラスでも入らないんですね。
2. サッシを変えずにペアガラスを取り付けて結露対策する方法
一枚板のガラスが入っている窓を使っている人は、ペアガラスに変えることができないのか?
いいえ、そんなことはありません。
2-1. アタッチメント付きのペアガラスで結露対策
9ミリの既存のアルミサッシでも、ペアガラスにリフォームできるよう作られたのがアタッチメントです。
アタッチメント付きのペアガラスを選べば、一枚板のガラスが入っている窓でもペアガラスにリフォームできます。
引用元 : アタッチメント付きペアガラス | 窓の結露対策専門店
引用日 : 2016年12月24日
2-1-1.アタッチメント付きペアガラスの注意点2つ
一枚板のガラスが入っている窓をリフォームできる、アタッチメント付きペアガラスには2つの注意点があります。
注意点1つ目 : 開け閉めする時に、網戸とぶつかるかも
アタッチメント付きでも、単板ガラスと比べてペアガラスが分厚くなる点に違いはありません。
そのため引き違い窓の場合、開閉時に他の窓・網戸とぶつかる可能性があります。
引用元 : アタッチメント付きペアガラス | 窓の結露対策専門店
引用日 : 2016年12月24日
ペアガラスが分厚いためにおきる問題なので、6ミリあるガラスの間の空気層を4ミリに薄くしてぶつからないようにしているものもあります。ただし空気層が削られるので断熱性が落ちることが考えられます。
注意点2つ目 : アタッチメントがアルミ製なので、そこに結露する場合も
またアタッチメント部分はアルミ製なので、ガラス部分に比べて断熱性能が低くなります。
そのためアタッチメント部分のみが結露する可能性があります。
空気層が4mmと薄くても断熱性能が落ちない「ペアプラス」という商品もある
「ペアプラス」はガラスの間の空気層が4ミリにもかかわらず、6ミリのものと同等の断熱性能を持っています。
その秘密は空気層に入れているガスです。通常空気層には乾燥空気が入っていますが、乾燥空気より熱を伝えにくいアルゴンガスを入れているので断熱性能が落ちないのです。
2-2. ペアガラスでも9ミリの溝幅にそのまま入れられるものもある
「ペアプラス」は薄くても断熱性が落ちない商品ですが、アタッチメント部分の断熱性の低さまではカバーできていません。そのため既存のアルミサッシの溝幅である9ミリに入れられて、断熱性が落ちない商品が作られました。
それがこちらの2つ。
「スペーシア」はガラスの間を真空にし、断熱性を落とさずペアガラスの厚みを薄くしました。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
「スリムペアガラス」は中空層にアルゴンガスより断熱性の高いクリプトンガスを入れることで、薄くても断熱性が落ちないようにしました。
3. 結露対策にペアガラスにした場合の注意点
ガラスだけをペアガラスにするのはお手軽な窓の結露対策ですが、注意したい点が3つあります。
- ガラス1枚の場合と比べて開け閉め重い
ペアガラスはガラスを2枚使っており、ガラスが1枚だけだった時と比べて重くなります。
重くなることで、今までより窓の開け閉めがし辛くなる可能性があります。 - サッシの結露は残る
結露はサッシに発生する場合も多くあります。ガラスの結露は防げるようになっても、サッシの結露はこれまで通りに発生する可能性はあります。対策としてはサッシも変える、内窓をつける、といった選択肢があります。 - ペアガラス内部に結露が出たら、買い替え時
ペアガラスの空気層に結露がでる場合があります。元々の断熱性能が落ちた可能性がありますので、空気層内部の結露に発生していないか注意しておきましょう。
まとめ : ペアガラスにも一長一短ある
窓ガラスを交換するだけで済むという手軽さもある一方で、開け閉めが重くなったり、サッシ部分の結露は防げないデメリットもあります。「全てをペアガラスに」ではなく、FIX窓といった開け閉めする頻度が少ない箇所だけに施工するといった使い分けが重要ですね。
また結露対策以外にも、暑さ対策にもなるLow-eガラスのペアガラスも出ていますから今後のリフォームの選択肢として覚えておきたいところですね。