樹齢200年の吉野杉をつかった最高級建具「二百年の扉」
樹齢200年の吉野杉(よしのすぎ)をつかった無節の最高級建具の室内ドアを見つけましたので紹介したいと思います。
吉野かわかみ社中
http://yoshinoringyo.jp/
200年の大樹から切り出した「赤柾(あかまさ)」を使用
「二百年の扉」は樹齢200年生の吉野杉をつかった建具です。マグロに例えればトロにあたる、木材の高級部位「赤柾(あかまさ)」のみを使用しています。樹齢を重ねないと取れない希少部位で、無節品は特に価値が高いと言われています。
熟練の職人による伝統技術「組子細工」も施されており、「最高級の素材(赤柾)+ 匠の技」が組み合わさった建具となっています。
実際に展示会で見てきた!
私も先日の「木のある暮らし展2017」で実際に見てきました。近寄ってみると…
まっすぐな木目と、年輪幅の均一さに美しさを感じますね。組子細工の品は見れなかったのですが、吉野杉の特長がよくわかります。
そもそも吉野杉とは?
ところで、樹齢200年の木材ってすごいですよね。
「二百年の扉」に使われている木材は吉野杉。奈良県吉野郡川上村が産地で、実はこの場所室町時代(1500年代)から500年続く、日本で最初に植林が行われた最古の林業地域となっています(樹齢400年の杉の人工林もある)。杉だけでなく桧も植林されています。
そういった歴史をもつ吉野では”撫でるように木を丁寧に育てる”ことから「撫育(ぶいく)」という言葉が生まれており、具体的には次の3つの特徴があります。
- 密植
他地域と比べ3倍の密度である1m間隔で植林することで木は互いに競争し合い、日光を求めて上にまっすぐ育つので、細く長い樹形となる。 - 多間伐
成長に応じ100年間で10回以上間伐するため、木がゆっくり育ち、年輪が細かく均一に。 - 長伐期
数十年ですべての木を伐って植えなおすのではなく、長い年月をかけて、100~200年生の大きく美しい木を育てる。
結果として、吉野杉には次の特長が備わります。
【吉野杉の特長】
- 無節…節のない美しさ
- 年輪幅均一…太りにくいので、年輪幅均一の美しさ
- 丸太にすると真円に近い…芯が根本から上部まで、幹の中心に通っている
- 強度がある…年輪幅が均一のため強い
- 通直完満…幹がまっすぐで、根本から上部までほぼ同じ太さのため、木目がまっすぐで美しい
- 色沢…豊かな水と土壌のもとで育ち、伐倒したあと葉がついたまま山の中で数か月から1年寝かせる(葉枯らし乾燥)ことで、淡紅色の色目が出る
- 香り
山守制度というのがある
ちなみに吉野地方には日本でも珍しい「山守(やまもり)」制度があります。川上村の山林所有者は遠方に住む村外の人がほとんどのため、現地で山林管理ができません。そこで保有者に代わり「山守」という地元の信頼おける方に依頼する、といった仕組みができました。
かつて、山は「山三分」と言われるほど財産価値が高かったため、山守も「鍵のない金庫を預かっている番人」と言われたそう。保有者に黙って木を伐採して売ればお金になるわけですから、信頼のおける方に依頼したそうです。
山守が管理した木材には「刻印(こくいん)」が丸太の木口に打たれ、生産者の品質証明のブランドとして今でも重要な役割を果たしています。
まとめ
当日取材対応くださった、吉野かわかみ社中を構成する団体の一つ、川上さぷりの南本さんは言います。
「今のニーズによりマッチさせた吉野材を提供したいと思っています。特に、手入れが行き届くからこそ作り上げられる『節のない』という点をPRしていきたいです。そのきっかけとして二百年の扉や伐採ツアーを提供しています。ファンの工務店さんも作りたいですし、ぜひ産地にも足を運んでくださればと思います。」
と同時に、
「最近では『節が無い=本物の木っぽくない(無垢っぽくない)』というニーズもあって、時代が変わってきているんですよね。昔は床柱に高級木を使うことも、価値観・ステータスとしてありましたが、いまはそういう時代じゃないということも痛感しています」
とも言います。
私今年32歳になりますが「節がない=いい木」「床柱に良い木を使う」といったことを知りませんでした(笑)。ただ今回の取材を通して「節がない」「まっすぐな木目」「均一な年輪幅」を実現するまでの成育工程や背景を知ることができたので、今は「節がないって、ものすごい手間暇かかってる木=すごい木」という想像を膨らますことができます。
建材選びもストーリーをセットで選んでみてはいかがでしょうか。
この建材のポイント
オススメなのは? | 最高級の建具がほしい |
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一番の強みは? | 無節・まっすぐな木目・赤柾 |
施工の強みは? | 赤柾なので、寸法の狂いが少ない |