施工写真 記事を探す
更新日
公開日

1年かけて天日干しする天然乾燥材「東濃杉」とは?

天然乾燥材「東濃すぎ」

木材にも「天然乾燥材」と「人工乾燥材」の2種類があることご存知でしょうか?

  • 天然乾燥材…そのまま天日で干して乾燥した木材
  • 人工乾燥材…乾燥庫に入れて乾燥した木材

で、それぞれ特徴があり(詳細は後述)、特に天然乾燥材は約1年間の乾燥期間と保管場所が必要です。そのため「今すぐほしい!」と言われて作り出しても、すぐに用意できるわけではありません。また流通量も人工乾燥材の方が圧倒的で、製材屋を見渡しても天然乾燥材を提供する会社は多くありません。

そんななか今回、500㎥のストックを常時保有しながら即時納材できる天然乾燥材「東濃杉」を見つけたので紹介したいと思います。

そもそも「東濃杉」とは?

東濃
東濃(とうのう)という地名をご存知でしょうか?今回の産地である東濃は、全国2位の森林率である岐阜県南東部にあります。古くからの木材産地のひとつで「東濃杉・東濃ひのき」が育ち、伊勢神宮の式年遷宮のための桧(ひのき)もこの地域から算出されます。


そんななか株式会社山共は、この地で製材を62年続け、天然乾燥材と人工乾燥材をスピーディに提供しています。林業から製材まで一貫して行っており、特殊な寸法、中途半端な寸法や急な納期にも対応できます。

製品ラインナップ

天然乾燥材「東濃すぎ」正角

天然乾燥材は平角・正角、人工乾燥材では平角・正角のほか羽柄材、板材もあります。

天然乾燥材の特長は?

ところで、そもそも天然乾燥材と人工乾燥材の2つにはどういった違いがあるのでしょうか?

またそもそも乾燥をなぜする必要があるのでしょうか?

木材を乾燥させる目的は?

まず、そもそも乾燥させる目的と効果を調べてみたところ、次のことがわかりました。

【乾燥の目的と効果】

  1. 軽くする
  2. 強度を増す
  3. 使用後の収縮、反り曲がり、変形の防止
  4. のこぎりが切りやすくなる など加工性を増す
  5. 菌類の発生防止
  6. 塗料・注入剤および接着剤などの効果を増す

乾燥前の木材は「生材(なまざい)」と呼ばれる状態で、変形や収縮が起こりやすい状態でもあります。ちなみに切りたての木材には40~80%(ときには100%以上)の水分が含まれているそうです。

天然乾燥材と人工乾燥材の比較

次に天然乾燥材と人工乾燥材について、いろいろ聞いたり調べたりした結果、次のようなことがわかりました。

天然乾燥材と人工乾燥材の比較表  木材 
天然乾燥材 人工乾燥材
① 色つや・香り・粘り
② 寸法安定性・含水率
③ ひび割れ
(※)一般に、強度的に問題が出るものではないと言われています
表面は割れやすいが、内部は割れにくい 内部は割れやすいが、表面は割れにくい
④ 価格
(※)株式会社山共の場合
60,000円~/㎥ 71,000円~/㎥
⑤ 乾燥時間 6ヶ月以上~ 1週間以上~

ここでお伝えしたいのは天然乾燥材と人工乾燥材のそれぞれ長所・短所があるということ。たしかに「天然」と「人工」という響きを聞くと、なんだか「天然」の方が良さげに感じがち。でもそれぞれに特徴があり、適材適所で使い分けることが重要だとわかります(例えば、「③ひび割れ」に着目すると、「表面は割れやすくいが、内部が割れにくい天然乾燥材」は人目につきにくい構造材に、一方の「内部は割れやすいが表面は割れにくい人工乾燥材」は、人目につきやすい化粧材に使うと効果的ですよね)。

施工事例は?

天然乾燥材は構造材に使われることが多く、今回施工事例は手に入りませんでした。なので今回は人目に触れやすい人工乾燥材をみていきましょう。施工事例として、東京都港区にある「みなとパーク芝浦」の写真を提供頂きました。

1. 外壁に東濃ひのきを使用

東濃ひのきの施工事例

2. 壁に東濃杉を使用したアトリウム

東濃杉の内装施工事例

3. R加工と塗装によって創り出したデザイン性の高い空間

東濃杉

4. 東濃ひのきを使用した区民ギャラリー

東濃桧

5. 照明と組み合わせた使い方

照明と組み合わせた施工事例

まとめ:良質な木材を安定的に供給できる地域や企業は意外と限られている

東濃材の強みは

  • 良質な木材であること
  • それを加工する技術などがあり、多種多様な製品の供給ができるということ

とわかりました。古くは鎌倉時代から林業が行われ、江戸時代以降は伊勢神宮の材料としても使われています。山にある木は枝打ちや間伐が繰り返され、無節でまっすぐな材木が供給できる態勢も整っています。

山共の田口社長は言います。

「近年国産材の利用は増加傾向にありますが、その要因はバイオマス、合板、集成材用のラミナなどの増加によるものだと思われます。これは新たな需要ということもありますが、違った見方をすると、全国的には手入れ不足によって曲がり材や死節、抜け節の木材が多く、無垢材のままでは内装材はおろか構造材にも使用できない木材が多いためであると考えられます。

みなとパークの物件を手がけて思ったのは、そもそも港区と提携を結んだ自治体は75ほどあり、登録業者は300を超えますが、その中で内装用木材を安定的に供給できる地域や企業はかなり限られているということです。つまり、仮に受注できたとしても一般的なフローリングや壁板止まりで、規格外(オーダーメイド)の木材に関しては、供給も加工技術も乏しいのが現状です。

東濃地域には、まず手入れをされてきた木材が安定的にあり、それを加工するための縦横の連携も存在する、それがこの地域の木材ビジネス上の最大の強みであると思います。」

木材を安定的に供給できる体制は当たり前でなく、また森に生える木すべてが木材として使えるわけでもないことを私も学ばさせて頂きました。

木材選びに産地の背景を知ることが、もはや必須の時代になるのかもしれません。

建築用木材の山共 東濃杉、東濃桧、ぎふ証明材、天然乾燥
http://www.yamakyo.com/

この建材のポイント!

こんな方におすすめ! 木の本来の香り・色つやを楽しみたい人
一番の強みは? スピーディな納期対応、特殊な寸法といった小回り対応ができる供給体制
施工の強みは? 粘り強い、曲げに強い

編集部レビュー

リフォーム・リノベ度 ★★☆☆☆ 2.0
DIY度 ★★☆☆☆ 2.0
新築おすすめ度 ★★★★★ 5.0
補助金もらえる度 ★★★☆☆ 3.0
武澤 拓也

武澤 拓也編集長

1985年8月2日生まれ。福井県出身。 電子部品メーカーの経理、Web制作会社の営業を経て、2016年12月より現職にてWebメディアを運営。建材をどこよりもわかりやすく伝えます。
武澤 拓也のプロフィール
第1回高性能建材EXPO

最近の記事