施工写真 記事を探す
CLASS1 ARCHITECT - 一級建築士向けポータルサイト
更新日
公開日

基礎の耐震補強ができないのは過去の話!既存住宅にはFRPグリッド

アイキャッチ画像

国内では大きな地震が絶えません。建物の構造の違いにより、同じ地震でも大きな差が生じます。

今回は筋交いや耐震金具以外で施工出来る耐震補強として、基礎の耐震補強材「FRPグリッド」を紹介します。

今まで注目されていなかった基礎の補強

既存住宅

国内の戸建て住宅は木造が一般的で、その耐震補強方法は筋交いの追加や耐震金具での補強が中心となっています。

ただこれらの耐震補強は建物の基礎より上の部分だけの補強で、基礎とのバランスが取れた耐震補強が重要です。ですが基礎の補強は、今もあまり注目されていません。それは上部に建物が乗っているため、建築後の補強は施工が難しいものだからです。

城東テクノさんのブース

そんな難しい補強が、城東テクノ(大阪府枚方市)の「FRPグリッド基礎補強工法」により可能となりました。

FRPグリッド基礎補強工法とは

FRPグリッド基礎補強工法

簡単に言うと古い基礎の立ち上がり部分(地面から上の部分)を補強して、基礎の耐震力を上げる工法です。

工程は以下の6工程となります。

FRPグリッド基礎補強工法の工程

  1. 現在の基礎検査
  2. 耐震改修設計
  3. 事前処理、下地処理
  4. グリッド固定
  5. モルタル塗り込み
  6. FRPグリッド露出部処

1. 現在の基礎検査

引用元 : FRPグリッド基礎補強工法 | 城東テクノ株式会社
引用日 : 2016年7月23日

元になる現在の基礎の検査確認です。補強前に今の基礎がどんな状況なのか、鉄筋の有無や状況などを調べます。

2. 耐震改修設計

建物の状態・補強状況に合わせ、どのように補強するのかを設計します。

3. 事前処理、下地処理

施工写真3

引用元 : FRPグリッド基礎補強工法 | 城東テクノ株式会社
引用日 : 2016年7月23日

改修工事前の準備です。今の基礎にヒビなどがあれば補修し、補修用の塗装モルタルが現在の基礎と一体的になるように基礎の表面を少し削り、塗料や汚れを剥がします。

4. グリッド固定

施工写真4

引用元 : FRPグリッド基礎補強工法 | 城東テクノ株式会社
引用日 : 2016年7月23日

いよいよ補修工事となります。鉄筋の代わりとなるFRPグリッドを、現在の基礎に専用のアンカーピンで固定します。

5. モルタル塗り込み

施工写真5

引用元 : FRPグリッド基礎補強工法 | 城東テクノ株式会社
引用日 : 2016年7月23日

FRPグリッド製品シリーズのERモルタルを塗ります。

6. FRPグリッド露出部処理

施工写真6

引用元 : FRPグリッド基礎補強工法 | 城東テクノ株式会社
引用日 : 2016年7月23日

換気口など開口部では、グリッドがモルタルで保護されず紫外線にさらされます。そのため露出しているFRPグリッドの保護塗装をして、終了です。

具体的な機能は?

FRPグリッド

FRPグリッド基礎補強工法は鉄筋に代え、グリッド状(格子状)に成形した「炭素繊維+ガラス繊維」を使います。

FRPグリッドは鉄筋に比べ軽量でありながら鉄筋の数倍の引張強度があります。また錆びることも無いので、鉄筋の場合4cm以上必要とされているモルタルのかぶり厚さが不要。FRPグリッドを含んで、1.5cmの補強厚で済みます。

鉄筋の場合、鉄筋を組むための結束が必要となります。また鉄筋を組む箇所では更に厚みが増え、補強厚さは6cm以上となります。当然モルタルの塗り込みでは施工が困難で、コンクリート打設のための型枠が必要となります。結果、大掛かりな工事になってきます。

簡単な工事

つまり、FRPグリッド基礎補強工法は簡単に基礎の補強が出来ると言うことです。

注意点

満足できる機能を持たせるために、設計は1級建築士・2級建築士・木造建築士且つ、日本建築防災協会の「木造住宅の耐震診断と補強方法」の講習会・FRPグリッド基礎補強工法技術委員会が行う講習会を受講した人に。施工はFRPグリッド基礎補強工法技術委員会が行う講習会を受講した人に、それぞれ行ってもらう必要があります。

課題

FRPグリッド基礎補強工法は外周の基礎であれば施工は簡単にできます。ですが間仕切り壁の下など外に面していない基礎の補強は、床板を剥がしたりする必要があるので難しいのが課題です。しかし本工法は、基礎の内側・外側に限らず補強することができます。

また基礎だけ頑張って耐震補強をしても、上の本体部分が耐震補強されなければ意味がありません。逆もそうです。基礎と本体部分を合わせた全体のバランスが取れた耐震補強が重要です。これについては、建築士・木造建築士と十分相談してから施工しましょう。

まとめ

  • 簡単、短期間で基礎の耐震補強が可能
  • 補強厚みが1.5cm程度で済む
  • 基礎の内側・外側ともに補強できるが、内壁の下の基礎は難しい
  • 施工にあたっては、建築士・木造建築士としっかり相談する
  • 耐震補強の助成制度が利用できる可能性がある(自治体と要相談)

この建材のポイント

オススメなのは? ・住宅の基礎の耐震補強をしたい
・簡単、短期間で工事を済ませたい
一番の強みは? 鉄筋以上の引張強度を持ち、錆びない一体成型のFRPグリッドを使用するため、簡単・短期間で基礎の耐震補強が出来る
施工の強みは? 型枠工などが不要、左官工事のみで対応可能
今回ご紹介した建材メーカー
城東テクノ株式会社
〒573-1132 大阪府枚方市招提田近3丁目14番地1
TEL0120-106011
FAX072-868-6687
WEBhttps://www.joto.com/product/lp/frpgrid/
建材ダイジェスト 編集部

建材ダイジェスト 編集部編集部

2018年も残りわずか!体調崩されていませんか?この11月もわかりやすい建材情報を発信します!リクエストもお待ちしております♪
建材ダイジェスト 編集部のプロフィール

マンガで学べる建築用語