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リクシルの「サーモスX」ってどんなサッシ?【技術・性能編】

おはようございます。編集長です。
朝起きてリビングに行くとモワっと暑いですね~。実は窓から熱が出入りする割合は50%超となっており、夏は外熱のうち73%が、冬は58%が窓から出入りします。

窓は熱の通り道

引用元 : 一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会HP
引用日 : 2016年8月4日

ということは、窓をきちんとすれば朝起きてリビングで感じる「モワっ」とした暑さを感じなくてて済むということではありませんか!

窓で前回三協アルミの複合サッシ「アルジオ」を紹介しましたが、他社のも気になります。

というわけで今回はリクシルの「サーモスX」を分析します。キャッチコピーは「高性能ハイブリッド窓」。リクシルの開発史上では「ハイブリット(アルミと樹脂の複合サッシ)」の最新製品という位置づけですね。

リクシル窓の開発系譜

一体どんな性能なのでしょうか。

アルミと樹脂の複合サッシで断熱性能はNO.1

サーモスX

一番の売りは断熱性能です。熱貫流率は1.03W/㎡・K(トリプルガラス、クリプトンガス入り、Low-Eグリーンガラス)と他社比でも

  • A社の複合サッシ :  2.14W/㎡・K(ペアガラスで、ガス無、Low-Eガラス)
  • B社の複合サッシ :  1.34W/㎡・K(トリプルガラスで、クリプトンガス、Low-Eガラス)
  • 同社従来品サーモスⅡ-H :  2.33W/㎡・K(ペアガラスで、空気層10mm以上、Low-Eガラス)

とアルミ樹脂の複合サッシではトップの断熱性能値を実現しています。特徴を深堀していくと、次の3つが見えてきます。

  1. 窓フレームをスリム化してガラス面積を最大化
  2. トリプルガラスだけど薄いガラスを使って軽量化&高断熱化
  3. 窓フレームの工夫

1-1. 窓フレームをスリム化してガラスの面積を最大化

サーモスX

サーモスX

窓フレーム幅を従来品の73mmから36.5mmと狭めています。はめるガラスが3重にもなったトリプルガラスであるため、ガラス面積が多くなればなるほど断熱性能が増す仕組み。窓が大きくなっても断熱性能が増すって、なんか不思議な感覚ですね。副産物として採光量も多くなり部屋が明るくなります。これは従来品のサーモスⅡでも同様のコンセプトですね。ちなみにサーモスⅡ-Hでは窓枠26.5mmでしたが、狭めすぎたのでしょうかサーモスXでは36.5mmと+10mmに。

ガラス面積最大化

ショールームでの説明ではこんな比較模型も

1-1-3

窓枠を狭めガラス面積を広めることができた秘密は「フレームイン構造」に依るもの。フレームと窓枠のラインを合わせてフレームの露出を極力抑え、見た目をすっきりさせています。ただ、フレーム面積を小さくすればするほど枠に手をかけにくくならないか懸念も感じます。

1-2. トリプルガラスの軽量化&高断熱化

従来品サーモスⅡ-Hとの違いはトリプルガラスがはまること。ガラスも選べ、次のように断熱性能(熱貫流率)が異なってきます。

 サーモスX ガラスパターン

トリプルガラスで2種類(クリプトンガス、アルゴンガス)、ペアガラスで1種類(アルゴンガス)の計3種類があります。サーモスⅡ-H(ペアガラス)では2.33W/㎡・Kの熱貫流率でしたから、同じペアガラスで1.52W/㎡・Kとアップしていることがわかります。

トリプルガラスにするデメリットは重量がかさむこと。サーモスXでは中間ガラスを1.3mm厚の特殊薄板ガラスを使用し軽量化を図っています。これにより従来のトリプルガラスの約19%の軽量化を達成。さらにオプションで屋内側窓についても軽量化が可能で最大約38%の軽量化が実現できます。

サーモスX

ただ実際選ぶとなると、どれを選べばいいかわかりません。カタログを見たところ選ぶためのガイドがありました。

地域別のガラスの選び方

地域に合わせてガラスを選ぶガイドですね。日射量で3色(青、黄、ピンク)で日本が色分けされており、例えば東京であればピンクの「日射量が多く温かい地域」なため、日射熱を66%カットするLow-Eグリーンガラス×Low-Eグリーンガラスがおすすめに。

はめるガラスパターンはオプション機能と注入するガスを加味すると全32種類から選べます(カタログのP394)。

1-2-4

1-3. 窓フレーム内部の工夫

次に窓フレームの内部構造に着目してみましょう。従来品サーモスⅡ-HとサーモスXの違いは、フレーム内の「小部屋」の数(リクシルでは多層ホロー構造と呼ぶ)。「小部屋」が増えるほど熱を伝えにくくなるため、この仕様が断熱性能の向上に貢献しています。

サーモスX 多層ホロー構造

またサーモスXはアルミと樹脂の「ハイブリッド窓」であり、室外側と室内側でアルミと樹脂の使い分けが行われています。人目につく室外側(水色)と室内側(オレンジ色)の両サイドはデザイン性の高いアルミを使いつつ、人目につきにくいレール部分には断熱性の高い樹脂部材を使っています。(従来品サーモスⅡ-Hと変わりありません)

サーモスX サーマルブレイク構造

ハイブリッド窓のイメージ

2. そのほかの基本性能

断熱性能以外の性能につきましては、従来品サーモスⅡ-Hと変わりありません。

  • 気密性能…A-4等級
  • 水密性能…W-4等級
  • 耐風圧性能…S-3等級
  • 遮音性能…等級2、3

まとめ

いかがでしたか。

サーモスXのポイントは複合サッシで最高の断熱性能値をたたき出したこと。ただ、実際には従来品サーモスⅡの普及が多いのも現状。過剰品質にならないかどうか、導入の際は慎重に見極めている工務店・設計士も多いですよね。

値段がカタログには載っていないのが残念。リフォームやDIYによって、建材への関心度が増しているのですから、オープン化すると、もっと身近で意思決定しやすいのになぁと感じます。

次回はデザイン面や隠れたオプション機能に深堀りしていきます。

以上、編集長でした!

参考動画 : サーモスXのプレスリリース

この建材のポイント

オススメなのは? サッシ枠を目立たせたくない意匠性を極めたい方
一番の強みは? 複合サッシでは最高の熱貫流率1.03W/(㎡・K)
施工の強みは? 枠出幅62mm確保で、壁厚化にも対応
今回ご紹介した建材メーカー
株式会社LIXIL
〒136-8535 東京都江東区大島2-1-1
TEL0120-126-001
FAX03-3638-8447
WEBhttp://www.lixil.co.jp/lineup/window/samos_x/
建材ダイジェスト 編集部

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