モルタルって何?外構工事で使われる、あの「灰色粘土」を調べてみました。
こんにちは、ライターの伊藤です。
私ごとですが、我が家は2年前に建てた注文住宅。
注文住宅ということで、家の中だけではなく玄関アプローチまでこだわり、その広さや形、デザインまでお気に入りの物を作ってもらいました。
私の父親がエクステリアのお店を経営しているため、施工は全て父親の会社で。
「どんな感じになるんだろう?」と毎日楽しみで施工現場もよく見ていました。すると、職人さんが灰色のものをネリネリ…。
「あの灰色の粘土って何だろう?」
父親に聞いたら「これはモルタルだ。」と教えてもらったんですが、「モルタルってなに?」と。
セメントとかコンクリートとは違うそうで…。簡単に教えてもらったのですが、はっきりと違いや特徴が分からず。
でも、あの施工を見ていると、粘土を作っているようで「自分でも出来るんじゃないかな?」なんて。
大きな施工は出来ませんが、DIYで子供と一緒にレンガを積み上げたり出来ると楽しいのかな~と思ったり。
そこで今回は、モルタルとは何か、お父さんが言っていたセメントやコンクリートとは何が違うのか、DIYで使用することはできるのかについて調べてみました。
モルタルってなに?
あの灰色の粘土みたいなもの。モルタルは何からできているのか、どんな風に使うのかについて見ていきましょう。
セメントに砂・水を練り混ぜたもの
モルタルとは、
- セメント
- 砂
- 水
を混ぜてやわらかくした建築材料のこと。練ると粘土のようになり、コテを使って塗りたいところへ塗ることができます。
セメントが1に対して、砂を2~3の割合で混ぜて水を加えたものが一般的なモルタル。ほかにも、混ぜるものによっていろいろな種類があります。
昔は、住宅の外壁材として広く使われていました。でも、ひび割れ・高価・施工に時間がかかる・熟練の職人技が必要などの欠点があり、それよりも丈夫で施工しやすい外壁材(サイディング・ガリバリウム鋼板など)が登場。
ただ、現在はデザイン性が好まれていて、外壁の表面仕上材としてや外構・内壁をオリジナルなものに表現するなどして人気を集めています。
モルタルは、主に建物外装で使われるもの
モルタルは、屋外・屋内のどちらにも使える便利な建材。使われるのは、外壁の表面仕上げ、浴室・台所・腰壁の仕上げ、レンガ・ブロックの目地材、タイルの下地など。職人さんの手仕事なので、二度と同じものはできない、あなただけのオンリーワンが作れます。
また、ペースト状で柔軟性が高いので、コンクリート壁のすきまを埋めるなど補修材としても使用可能。水はけが必要な駐車場に対して、勾配をつけることもできます。
モルタルの良いところ・悪いところ
次に、モルタルの利点・欠点について見ていきましょう!
良いところ
モルタルの一番良いところは、なんといってもデザイン性が高いことです。モルタルといえば「灰色のもの」を思いつくかもしれませんが、実は混ぜるものを変えることによってさまざまな模様・色を表現することが可能。
塗りむらがあるので味わいがあり、モルタルでしか表現できない壁・床・腰壁・土間(玄関)がつくれます。現場で職人さんの手によって施工されるので、「こんな風にしたい!」と希望通りのものが手に入れられるかもしれません。
また、耐火性があるので、壁に一定の厚さを塗れば防火構造として適用。建築基準法では、「不燃材料」の1つとして定められています。
不燃材料に関して、詳しくはこちらの記事で紹介しています。
この写真は、我が家の玄関部分。素材はサイディングですが、築2年ほどでまだまだ綺麗な状態です。
このように最近の住宅は、サイディング壁が一般的となりましたが、上記のような継ぎ目が目立つことが欠点。家の角・凹凸が多い家の壁に多くみられます。あらかじめ作られたパネルを貼り合わせるものなので、どうしてもつなぎ目ができてしまうんですね。
また、ガルバリウム鋼板をつかった壁は、特に黒色の家などモダンな雰囲気を表現するのにもってこい。ガリバリウム鋼板とは、鉄の表面に雨などで錆びないようにメッキ塗装された金属のことで、耐久性は高いですが熱くなりやすいのが欠点です。
それに比べてモルタルの壁は、耐火性・耐久性のどちらも備えています。なおかつ、職人さんの手仕事なので継ぎ目なし。コテで練りつけていくものなので、パネルや金属を使った壁に比べてデザイン性が高いものを作れます。
- デザイン性が高い
- 火に強い
- サイディングのようなつなぎ目が浮き出ない
- ガリバリウム鋼板のように熱くならない
悪いところ
モルタルは、施工後24時間程度の乾燥が必要です。乾燥するときにひび割れが生じることも。というのも、水を使って練っているので、水が乾いたときに収縮し亀裂が生じてしまうんです。
そこで、モルタルの施工は1度だけでなく、下塗り→乾燥→中塗り→乾燥→上塗りと、段階的に塗装を重ねることによってひび割れを埋めていきます。
すると、パネルを貼るだけのサイディングと比べて完成までの時間は長くなりますね。職人さんの手仕事ということも相まって、工事期間は比較的長くなります。。また、熟練技をもつ職人さんが減ったということもあり、材料費・人件費においてコストが高くなります。
モルタルのひび割れは、補修することが可能。ただ、部分的に直そうとしてもキレイにはならず、壁の全面塗装が必要です。サイディングは、工場生産で取りつけも大工さんなので低コスト。モルタルは、その施工が高価なだけでなくメンテナンス費も高くなります。
- ひび割れ
- 高価
- 施工に時間がかかる
- 熟練の職人技が必要
「セメント」「コンクリート」と何がちがう?
建築現場で見るような「灰色のもの」。モルタルのほかに「セメント」「コンクリート」を聞いたことがありませんか。いったいどんな違いがあるのでしょうか。同じに見えるようなものでも、実は違いがあるんです。
セメント
セメントとは、石灰石・粘土が原料となった灰色の粉。水との化学反応で硬化します。強度が低く、砂や砂利と混ぜて使うもの。セメントに混ぜる物の違いによって、コンクリートとモルタルが区別されます。
セメントの種類は大きくわけて「ポルトランドセメント」「混合セメント」「特殊セメント」の3つ。そのうち、コンクリート・モルタルに使われるのはポルトランドセメントで、ケイ酸三カルシウムやカルシウムアルミネートで構成されています。
セメントは、コンクリート・モルタルに共通して使われる基本的な材料だということですね。
コンクリート
コンクリートとは、セメント1に対して砂3・砂利6・水を練り混ぜたもの。道路・トンネル・玄関やガレージの土間など、頑丈に施工して強度が必要な場所に使われます。生コン工場で生産し、固まらないように生コン車で現場まで運んで使用するのが一般的。
張力に弱いので、鉄筋を入れた鉄筋コンクリート、それに鉄骨を入れた鉄筋鉄骨コンクリートとして使われることが多いです。モルタルとの違いは「砂利が入っているかいないか」。砂よりも粗い砂利を含めることで、モルタルよりも強度を高くしています。
最近では古木や石の質感をリアルに演出したコンクリート製品や、
水に弱い弱点を克服したコンクリート専用塗料も登場しています。
モルタル壁の種類
粘土のような灰色のモルタルには、どんな種類があるのか。また、外壁に使うならどんな模様ができるのか気になったので、外壁材として扱うモルタルの種類について調べてみました。
吹きつけタイル
吹きつけタイルは、タイル材を1~3mm程度の厚さで吹きつけたもの。表面がツルツルしていて凹凸がランダムにあるので、陶磁器のような模様ができます。塗料の吸い込みがないので使う量が少なくてすみ、低コスト。
モルタルと一緒に高耐久性シリコン系・フッ素系などのトップコートを使うので、ひび割れが発生しにくく耐久性が高くなります。
リシン
リシンは、砂壁のような壁。表面が細かい砂のようにザラザラしていてツヤはありません。以前は、低コストで扱いやすく独自の風合いがあるので、広く使われていました。
ただ、ひび割れが生じやすい・表面に汚れがつきやすいなどモルタルの欠点が目立つので、最近の新築住宅ではリシン壁が激減しています。
スタッコ
スタッコは、スタッコ材(合成樹脂エマルション系・セメント系などの塗材)を5~10mm程度の厚さで吹きつけたものです。石材のような高級感&重量感が特徴。リシン壁を厚く大げさに表現したような模様です。
ただ、スタッコ壁は塗装面の凹凸が多いので汚れやすく、塗装の吸い込みが激しいので塗料が大量に必要。施工に手間がかかります。
おしゃれなモルタル製品
さて、次にモルタルを使う商品にはどんなものがあるのかについてご紹介していきましょう。
デザインコンクリート
引用元 : 株式会社カントリーベース
引用日 : 2017年9月13日
デザインコンクリートは、建築資材の輸入・販売・施工を行う株式会社カントリーベースの商品。海外の製品を取り扱っているだけに、海外で見た景色や内装のようなデザインが表現できる塗材です。
種類はモルタル造形・オーバーレイ・MPC(エムピーシー)・生コン一発の4つ。内装・外装どちらにも使えます。外壁・玄関ポーチ・ガレージなどにワンポイントとしてデザインコンクリートを使うと、ほかの家とはひと味違うオシャレな家ができます。
DIYで使いたい、モルタル
最後に、インターネット通販でも購入できるDIY使用可能なモルタルについて調べて見ました。
Amazonで見つけた、家庭化学「インスタントセメント」
引用元 : amazon(インスタントセメント)
引用日 : 2017年9月17日
家庭化学から販売されている「インスタントセメント」はDIYでも使用できるオーソドックスなモルタル材です。
普通のモルタルは、セメントと砂・水を混ぜなければいけませんが、このインスタントセメントは水を混ぜるだけでOK。接着成分も配合されているので素人でもしっかりとしたモルタルを作れます。
箱の中でモルタルを混ぜて、あとはコテで塗っていくだけ。
これなら簡単なので、息子と一緒にレンガ積みも出来そうです。家の玄関周り、ちょっとしたDIYを楽しめそうですね♪
Yahoo!ショッピングで見つけた、建築金物SHOP「色モル」
引用元 : ヤフーショッピング(建築金物SHOP)
引用日 : 2017年9月17日
一般的にカラーのモルタルを作ろうと思うと、白いモルタルを準備して、そこに色粉を混ぜることによって色を出します。
しかし、その配合割合が難しくDIYには向かないものが多いんです。
色粉は水と混ざったときに発色します。つまり、色の配合をしている段階では発色しないため色の確認ができません。
その点、この「色モル」は最初から着色されているモルタル。自分で色を配合する必要もなく、色付きのおしゃれなモルタルを作れます。
玄関アプローチの角、ガーデニングエリアの淵(ふち)、駐車場のちょっとしたマークなど、様々なところに使用できそうです。地面に色がついているというだけで、家がちょっぴりおしゃれに見えるのかも♪
まとめ
ふと気になって調べてみたモルタルですが、まずコンクリートとの違いすら理解できていませんでした。
また、DIYに使えるおしゃれなカラーモルタルなんてものも初めて知ったので、これで息子と遊んでみるのが楽しみです♪外構屋のお父さんを誘って一緒にDIY出来ると、お父さんも喜んでくれそうで楽しみ。
あまり詳しく解説されることがない「モルタル」ですが、ゆっくり調べてみることで新しいひらめきに結びつくかもしれませんね。