浴室の磁器タイルにDIY!高齢者の転倒防止に浴室床シート「あんから」
高齢者の日常生活事故は年々増加しており、転倒事故はその8割を占めています。中でも特に転倒しやすい場所としてあげられるのは浴室。
浴槽に入るときや浴槽から出るときにバランスを崩しやすく、転倒することで大腿骨を骨折してそのまま寝たきりになる高齢者も少なくありません。ですので浴室の転倒防止を意識した住宅設計は重要な視点になります。
今回ご紹介する「あんから」は、フクビ化学工業さん(福井県福井市)が2年間かけて開発した、つかう人に優しい浴室用床シート。あんからは一般製品と比べてどのような強みがあるのか、取材で分かった特徴を紐解きます。
カラッと水はけが良く安心な浴室床「あんから」
滑りやすく床が固い従来の浴室には危険がたくさん潜んでいます。床に足を滑らせて転倒し浴室扉に頭をぶつけ、割れた樹脂ガラスで頭を切ってしまったりと、ちょっとしたきっかけで大事に至ることが多い浴室。
「人が1番リラックスしたい場所、浴室をより快適なものにしたい!」そんな思いで開発された浴室用床シートあんからは、2014年4月に発売されました。
浴室の安全面を最大限に考慮したあんからの強みは次の3点です。
あんからのココがすごい
- 衝撃を吸収!磁器タイルよりも23%やわらかくなった
- 石鹸水で濡れていても滑りにくい!転倒を予防する防滑性
- 断熱効果あり!磁器タイルに比べて足裏の熱が奪われにくい
1. 衝撃を吸収!磁器タイルよりも23%やわらかくなった
あんからは衝撃を吸収するように発泡層を基材に使用しています。こちらがあんからの構造。
転倒衝突時の床のかたさ試験では磁器タイルよりも23%柔らかい結果になりました。
万が一転倒した場合にも衝撃が少なく、大きな事故を防止してくれます。
2. 石鹸水で濡れていても滑りにくい!転倒を予防する防滑性
浴室は水で床が濡れていたり、シャンプーや石鹸など滑りやすい環境が整っています。
あんからの表面はエンボス加工が施されているので、水はけがよく滑りにくい床材となり、浴室内での転倒そのものを回避できます。
床のすべり試験でもすべりにくいことが証明されています。
3. 断熱効果あり!磁器タイルに比べて足裏の熱が奪われにくい
冷たさを伝えにくいシートを用いることで断熱効果があり、足裏の熱を逃がさないのも特徴。同じ条件で磁気タイルと比較した実験では、サーモグラフィーで真っ赤なあんからに置いた足の裏側に対して、磁気タイルは真っ青な状態にまで温度が下がっています。
10度以上の差があれば体感温度としてもかなり違いがありますね。
手順は6ステップ!あんからの施工方法
あんからの施工の流れは以下の6ステップ。カッターで部材をカットできるなど、日用品を使った施工が可能です。
あんからの施工手順
- 材料確認
- 下地の確認・清掃
- あんからの採寸・カット
- 部材の取り付け
- 接着剤塗布
- シーリング
動画やPDF説明書でも施工手順をご覧になれます。
あんからの施工説明書 PDF
- 施工説明書PDFはこちら
- 引用日 : 2016年6月25日(土)
製品仕様 (あんから)
規格 |
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カラーバリエーション | |
単品価格 | ¥15,000 / m |
戸建て住宅だけじゃない!病院や高齢者施設への採用も
あんからのように滑りにくさと転倒時の衝撃を抑える床が求められるのは、戸建て住宅だけではありません。病院などの医療機関や特養(特別養護老人ホーム)や老健(介護老人保健施設)などの介護施設、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどの高齢者が多い施設でも需要はあります。
介護や看護を専門にしている方にとっても、入院患者や入所者の入浴はとても負担が大きいのが現実。そうした介護職員や看護職員が入浴補助を行うときに足元が滑りにくく、介助しやすい浴室であれば安全かつ仕事の効率性も高まります。
またあんからは介護現場での補助金対象になる建材です。
介護保険における住宅改修費補助金の受給が可能です。
要支援・要介護認定を受けている方が、あんからで浴室床の改装をしていただくと、「滑りにくい床への変更」に該当し、住宅改修費の補助金(9割補助・上限18万円)を受けられます。
- お手続きには事前申請が必要です。詳しくは、担当のケアマネージャー又はお住まいの市町村にご相談ください。
- 一定以上所得のある方がサービスを利用した時の補助金は8割補助となります。詳しくは厚生労働省HPをご確認ください。
- 自治体によっては支給が受けられない場合もございます。
- 引用元 : 安心・快適 浴室用床シート「あんから」カタログ
- 引用日 : 2016年6月25日(土)
重量があるキャスター付き特殊浴槽を使う場合は「ペディシート」がオススメ
あんからの欠点は、重量物や車輪のしごきで傷、剥離、膨れ、へこみ跡が発生する場合がある点。
施設に特殊浴槽がある場合、浴槽やお湯の重量と人間の体重を合わせると150kg程度になります。特殊浴槽はキャスターを転がして移動させながら利用するため、床材に耐久性が求められることになります。
そうした時にも対応できるのが重量物に強い「ペディシート」です。
こちらであれば重いキャスター付き特殊浴槽を持ち込んでも大丈夫。寝たきりで完全に全介助が必要なシーンにも対応できるので、戸建て住宅だけでなく施設への導入も問題ありませんね。
製品仕様 (ペディシート)
「転倒」は命取りに!まずは浴室から危険をシャットアウト
転倒事故で入院される高齢者の現状について病院で勤務する看護師に聞いたところ、次のような回答も。「最初は骨折の完治目的で入院した高齢者が、入院しているうちに体力や筋力が落ち寝たきりに近い状態になり、肺炎などの症状を発症することも多い」とのこと。
浴室内での転倒がきっかけで寝たきりにまで繋がる可能性があるのは、身近に潜む危険です。そうした危険をシャットアウトするためにも、浴室の転倒防止建材にお金をかけるべきではないでしょうか。
この建材のポイント
オススメなのは? | お年寄りがいる世帯での新築・リフォームを考えている施主や介護施設 ※ 介護施設の場合は「ペディシート」がオススメ |
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一番の強みは? | 石鹸水でも滑りにくい防滑性と、万一転倒したときの衝撃緩和 |
施工の強みは? | カッターなどの身近な日用品を使って施工できる |