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【STONE : #03】「石」から「石材」となる、そのルーツとは?

【STONE:#03】「石」から「石材」となる、そのルーツとは?

日本の建築には主に『礎石 (そせき)』『石垣』『建材』として多くのシーンで『石』は使用されています。

柱を支える『礎石』として発展した石材の歴史。

藤原京の礎石

藤原京の宮殿に使われた柱を再現したもの。当時は礎石が使われた。

日本の建築の歴史の上で『石』が使用されるようになったのは、飛鳥時代や奈良時代に始まった寺院建築の頃です。それまで柱を地中に埋める掘立式 (ほったてしき) などが主流であった時代に、大陸からの建築方式を取り入れて、重量のある瓦屋根とそれを支える柱の下に石を敷き、重さで安定させるというこの方式は現存する多くの日本の木造建築に見られます。

礎石と呼ばれる基礎石に木の柱を置き、屋根の重さで建物全体を支えるこの方式は、地震とか強い風に対して揺れを少なくして建物全体をずらすことで力を逃がすという目的であったため、なるべく大きな石が柱の下に必要となりました。大きな石はなかなか採取が困難であったために、日本で一般的な住宅の建築にひろく礎石が使用されるようになるのは江戸時代や明治時代に入ってからといわれています。

日本各地で採取されるいろいろな『石』が礎石として使用されましたが、硬くて産出量が豊富であった花崗岩 (かこうがん) が多く使用されたようです。しかし地域によっては、福井県の笏谷石 (しゃくだにいし) のように凝灰岩 (ぎょうかいがん) が使用されていた地域もあります。

もうひとつ日本で発展した建築の『石』に、石垣があります。

皇居の石垣
『石垣』はもともと土地の境界線を示したり水や土砂の侵入を防ぐ目的で使用されてきたものですが、敵の侵入を防ぐ建物を囲む壁などに使用され、それが城の城壁として発展していきました。石垣を積み上げてその周りに堀を作り防御性の高い要塞を作り上げることが戦国時代に一般的になったようです。その石積みには高度な技術が要求され、石積み職人として代々受け継がれていきました。石積みの方式は自然石を積み上げる野面積み (のづらづみ)や切り出した石を積み上げる玉石積み (たまいしづみ)などがあり、現代ではその強固さと豊かな表情が再評価され注目が集まっています。

近代建築では高級建材として壁や床に使われています。

国会議事堂の外壁には国産石材が使われています。
明治時代になって欧米の建築様式が伝わると、『石』はそれまでの礎石や石垣だけではなく、壁材や床材として使用されるようになってきます。なかでも明治期から計画され昭和11年に完成した国会議事堂には、外壁材や内装材にふんだんに国内の石材が使用され、現在でも重厚感と高級感ある表情を見せています。現在の建築でも御影石や大理石などを使用して、大型ビルだけではなく、床の石張りであったり外壁のアクセントに使用したりするなど、個性的で高級感ある建築物の代表的な建材として『石材』は使用されています。

現在の一般住宅の建築方式では、ベタ基礎と呼ばれるコンクリート基礎が主流たなり、基礎石として『石』を使う機会は減っているのが現状です。その一方で、外壁材や内装材などのアクセントとして『石』を使っている住宅が増えてきてもいます。『石』の持つ豊かな表情と堅牢で高級感あるイメージが評価されているようです。

次回は建材としての『石』の魅力の実例をご紹介します。

まとめ

  • 日本の歴史上、石材が使われ始めたのは飛鳥時代の寺院建築。
  • 戦国時代には、城壁として石垣を設置することが一般的になった。
  • 明治時代には外壁材や内装材として使用されるようになる。国会議事堂が有名。
  • 現代の一般住宅では、石のデザイン性が着目されて使われている。
建材ダイジェスト 編集部

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