【漆#2】職人技の拭き漆、室内空間に極上を。
このような方に特におすすめの記事です
- 古民家リフォームを担う設計士
これまでの記事の流れ
- 【漆#1】時が経つ楽しみ、拭き漆(ふきうるし)
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こんにちは、武澤です。
漆シリーズ第2話目は無垢の杉床材に、漆を5回塗って拭き漆の床材に仕上げる様子をお届けします(古民家リフォームで床張りをし直す案件)。
「拭き漆」は木目の美しさを最高に引き立てる仕上げ方法の1つ。使い続けるほど美しさと深みが増す床材として、知る人ぞ知る選択肢です。
なかなか見れない光景です、さっそくみていきましょう。
全5回の塗り作業!「拭き漆」の工程
まず、拭き漆の床材に仕上げる方法には下記2パターンがあります。
拭き漆の床材に仕上げる2つの方法
- 施工現場に職人が出張して塗って仕上げるパターン
- 職人が施工前の材料に塗り、施工現場へ配送するパターン
今回取材するのは「2」のパターン。建材屋から、職人のもとへ床材が届きました。
それがこちらの長さ4mの杉床材。拭き漆後は大阪へ配送します。さっそく1回目の塗りに入ります。
1回目
この日の気温は6℃、湿度は86%。湿度70~90%を目安として塗っているとのこと。
刷毛で塗り、布で拭く工程を繰り返してゆきます。1回目は材に漆を染み込ますため、希釈した生漆(きうるし)を使用。
1回目塗り終わると…
2回目
こちらは1回目が終わったもの。塗り直後よりも濃くなり深みも増しています。こちらに2回目の塗りを施していきます。
2回目以降は生漆を薄めずに塗ります。厚みを持たせた塗膜を形成することで、床材の保護膜としての機能も担っています。
2回目塗り終わると…
2回目塗り終わりの様子です。1回目の塗り直後と比較してみると、深みが全然違いますね。
3回目
続きまして3回目の塗り。作業工程は2回目同様です。
3回目塗り終わると…
4回目
「これぐらい近づいてもなんともないなら、おたくはカブれにくい方ですのぅ」と言われた4回目。カブれる人はこれぐらいの撮影距離でもカブれるそう。
4回目塗り終わると…
5回目(最後)
塗り回数を重ねるほど表面が滑らかになるため、漆の伸びもぐい~~~っとこれまで以上に伸びます。
5回目塗り終わると…
美しいですね。木目が1枚1枚異なるので、見た目も1枚ずつ表情豊かです。
なお、現場施工時のカット等で木口が発生した場合は、拭き漆を現場にて行います。
「現場施工は身体的にも大変。養生せなあかんし、腰をかがめて膝当てつけながらの作業になる。今回のように予め拭き漆を行った材を配送する方が、直接の現場施工よりもはるかに身体的負担が少ない」と職人は言います。
まとめ
いかがでしたか。
木目と深みのある濃さが美しい拭き漆の床材を知っておいて損はないと思います。年月が経つにつれて、深さを増す美しさは漆ならではの強みです。
次回は、今回の床材の現場施工&木口調整の様子をお届けしたいと考えています(ただし、お施主の許可が必要なので、実現できない可能性もあります…)。
また下記に拭き漆のQ&Aも用意しましたので、一読ください。
参考 : 拭き漆のQ&A
材木を長持ちさせる&木目を美しく見せられるからです。木地見せの塗装の中では最高級の仕上げの1つです。
3回でもいいですが、ワックスがけと同じようにだんだん艶が出てくるためです。お施主様の好みに応じて、調整できます。
乾燥さえすれば、いくら歩いてもかぶれません。
塗り回数によっても変わりますが、おおよそ数万円/㎡ 以内です。
㎡数にも寄りますが、約1か月ほどです。
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この建材のポイント
オススメなのは? | 木目の美しさを味わいたい方 |
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一番の強みは? | 塗料のなかでも、最高級の美しさと耐久性 |