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なぜ瓦なのに地震対策ができるの?タイセイ「アルミダイカストルーフ」

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平成28年熊本地震で被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。個人的にも親類も住んでおり、若い頃住んでいた所です。現地に伺い、被害の状況を目の当たりにし大変悲しく思いました。早い復興を願ってやみません。

さて今回は、そんな地震への想いも含めてタイセイ(東京都新宿区)さんのアルミ瓦「アルミダイカストルーフ」を紹介します。アルミ瓦と地震がどう関係するのかは、紹介の中で追々お分かりいただけると思います。

アルミ瓦葺って…

アルミダイカストルーフ

アルミダイカストルーフの商品写真です。瓦葺・茅葺・鉄板・スレート葺など屋根葺き材には色々ありますが、アルミ瓦って初耳です。金属製の屋根葺き材には銅や鉄板、チタンもあります。このように屋根材には様々な金属が使用されていますが、アルミは初めてです。

アルミダイカストルーフとは

アルミ瓦

溶かしたアルミを金型に高速・高圧で注入して出来た瓦が、タイセイ(東京都新宿区)さんの「アルミダイカストルーフ」です。アルミで出来ているので、粘土やセメントで出来た瓦やスレートと違って割れません。粘土瓦の3分の一の軽さで、強度は粘土瓦の2倍です。一般的な金属屋根の厚みが0.5mmに対し、アルミダイカストルーフは2.5mmです。標準タイプは1枚が幅606mm、長さ280mmになっています。瓦が2枚つながった感じです。

水返し

重なる部分には独自の水返しがあり、緩い屋根勾配(3寸5分 約20°)まで雨漏りの心配がありません。鉄板葺やスレート葺は平らな野地(屋根下地)に平らに乗せます。ですがアルミダイカストルーフは瓦2枚を横に繋げた大きさになっていて、瓦葺と同じように平らな野地(屋根下地)に横桟を打ち一枚ずつ重ねネジで固定して葺いていきます。

カラー

雑誌に掲載された広告

色は塗装無しのシルバーに加えブラック・グリーン・ブロンズがありますが、上記写真のように他の色も出来ます。
模様は標準タイプの他に木目調、新木目調ががあります。

メリット・デメリット

まずはメリット

車のエンジンと同じ素材・製法で作られたアルミダイカストなので強いです。また粘土やセメントと違い寒冷地で起こる、浸み込んだ水が凍って膨張し割れると言うこともありません。しかもアルミなので錆びません。軽いので長い梁を使った屋根が作れます。

野地に横桟を打ち乗せて葺きます。ですので野地に屋根材を直接葺く鉄板葺やコロニアル葺きと違い、野地との間に空気層が出来ます。この空気層により断熱効果・通気性・雨音などの遮音性が良くなります。

また一枚一枚の上下左右をネジや噛み合わせて固定するので、台風などの強風に耐えます。

次にデメリット

グラフ

施工単価がスレート葺で5,500円/㎡程度なのに比べ、20,000円/㎡程度と予算が必要。一般的な住宅の屋根は100㎡程度ですから、スレート葺は55万円のところアルミダイカストルーフは200万円となります。

ただし救われるのはその後のメンテナンス費用です。スレートの場合10年後に塗装費、20年後に葺き替え費、30年後に塗装費と繰り返しになります。その点アルミダイカストルーフはメンテナンスフリーなので、30年後には合計金額は逆転します。

これで行くと100年後は絶対お得と言うことになりますが、その前に建物自体が老朽化して建て替えが必要になります。でもアルミで出来ていますので瓦としては問題が無く、建て替えでの再利用やアルミ地金としての回収が出来ます。

地震と何の関係が?

冒頭での地震とアルミダイカストルーフの関係についてです。

地震の被害状況を見ますと同じような場所でも、建物屋根葺材の違いによって壊れ方に非常に差がありました。瓦のように重いものが屋根に乗った建物と、スレート葺のように軽いものが屋根に乗った建物。その2つでは地震の時に建物にかかる力が全然違います。

なので軽いアルミダイカストルーフは耐震対策としての活用の可能性が大きいですね。また野地への固定が十分になされるので、耐風性が高いです。

アルミダイカストルーフは初期コストは高めではありますが、大事な命を地震だけではなく台風からも守るための防災対策費としてみなす考え方もできます。

課題

アルミは錆びませんが、他の金属(銅や亜鉛など)と接触しそこに雨水などの液体があると電流が発生し電蝕(電気的な腐蝕)が起きます。他の金属屋根材との併用などには、施工の時に注意を要します。

まとめ

  • 軽い屋根が出来る
  • メンテナンスが不要
  • 断熱効果、遮音性、通気性がある屋根が出来る
  • 耐震対策として利用できる
  • 台風に強い
  • アルミとしての再資源化ができる
  • 高価である

この建材のポイント

オススメなのは?
  • 瓦の割れが心配
  • 改築したいが、柱、梁が古く、軽い屋根にする必要がある
  • メンテナンスフリーの家を造りたい
  • 地震、台風に強い建物にしたい
  • 自然に優しく、再資源化出来るような建材を利用したい
一番の強みは? 軽くて、丈夫でメンテナンスフリーの屋根葺き材
施工の強みは? 瓦葺きと同じ施工方法であり、新たな技術は要らない
今回ご紹介した建材メーカー
株式会社タイセイ
〒160-0023 東京都新宿区西新宿8丁目4番2号 野村不動産西新宿ビル9階
TEL0120-78-1234
FAX0120-13-7705
WEBhttp://www.expantay.co.jp/product/kawara/
建材ダイジェスト 編集部

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