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【工場取材】鋳物フェンス、その製造方法とは?

溶融金属を型に流し込む工程「注湯」

鋳物で広がる選択肢

こんにちは。熱しやすく冷めやすい、Mr.Tボーンです。今回は鋳物 (いもの) の記事をお届けします。なぜ鋳物なのか、少しご説明しましょう。

私たちは建材の情報を集めるため、普段から色々な建材カタログを読んでいます。その中で「鋳物フェンス」なるものが目に留まりました。私はそのとき、鋳物が建材に使われていることを知ったのです。

築50年の我が家には鋳物の鉄瓶があります。重量感があり (実際重い)、趣深い雰囲気。お湯を沸かすと独特の味になります。祖母に尋ねると、かれこれ30年以上使っているとのこと。

私にとって鋳物は、こうした古い鉄器のイメージでした。しかし実際は、生活のありとあらゆる場面で鋳物が使われています。どこに使われているのかは後述しますが、驚くほど広範囲にわたって活躍しています。

その上で改めて近所を散歩すると、表札やフェンスなど、建材として使われている鋳物が目に付くようになりました。それら鋳物建材のデザイン性は、まさに鋳物でしか出せない味があります。

本記事の前半では、そもそも鋳物とは何なのか、どんな製品があるのかをご紹介。後半では鋳物の製造現場を取材した様子をお伝えします。鋳物という選択肢の理解が深まれば幸いです。

鋳物とは、型から作る金属製品

鋳造の様子

溶かした金属を型に流し込んでいるところ

初めに鋳物とは何か、簡単にご説明しましょう。

鋳物は「鋳造 (ちゅうぞう)」によって作った製品全般を指します。鋳造とは金属を溶かして型に流し込み、冷やして固める加工法。複雑な形の製品を量産することに向いています。鋳造をするための型を「鋳型 (いがた)」と呼びます。

鋳造には様々な金属が使われます。

  • 鋳鉄 (ちゅうてつ) の他
  • 銅合金やアルミニウム合金
  • チタン合金
  • ニッケル合金

など、目的に応じて使い分けています。

また鋳物は再利用することが可能。金属を再び溶かして型に流し込めるので、リサイクルできるのです。

身の回りの鋳物例

鋳物は色々な場所で使われています。
鋳物は私たちが普段目にする物、あるいは目に見えない部分で至るところに使われています。身近なものでは鍋や釜、鉄のフライパン、鉄瓶。その他、自動車のエンジンや鉄道、船舶、航空機。家電製品の動力部、パソコンなど通信機器。各種製造業で使用する機械。街灯、信号機、鉄橋、水道管、マンホールの蓋など。そしてお寺の大仏や鐘にも使われます。

鋳物は小さなものから大きなものまで、私たちの生活を支えているのですね。

建築資材の鋳物
鋳物は建築資材としても使われています。家を建てるとき、土台の基礎として使われる金属の棒 (アンカーボルトなど)やビルの鋼材。耐震補強材などにも鋳物が活躍します。

鋳物は住宅の中でも沢山使われています。
鋳物は住宅の中にも多く使われています。表札や門扉、ドアノブにも鋳鉄品が多々あり。壁に鋼材が使われる場合はそれが鋳物だったり、金属成形の屋根が鋳鉄だったりすることもあります。

ドアの蝶番 (ちょうつがい) やネジ、ワッシャーも、金属製の多くは鋳物。その他、階段や風呂場の手すり、蛇口、棚受やカーテンレール、換気口、各種取付金具などにも鋳造品が使われています。

鋳物建材の特長:曲線美と質感

鋳物のエクステリア、窓格子
鋳物の建材には、

  • 門扉
  • フェンス

があります。鉄製とアルミ製が多く、特にアルミ製は錆びない&重量も軽いため、使い勝手がよい利点も。上記写真のように窓格子に使う事例も。独特の曲線は、ステンドグラスのラインアートに通じるものがあります。

前半のまとめ

  • 鋳物とは、型から作る金属製品。
  • 鋳物は日用品から工業製品、建築材料、建築資材、インフラなど実に多くの場面で使われている。

鋳物工場を取材

実際のところ、鋳物はどのように作られるのでしょうか。今回は鋳物フェンスの製造工程を取材。以下、様子を見ていきましょう。

まずは鋳型 (いがた) を作ります。鋳型は鋳物を作るための型で、これに液体の金属 (ここではアルミ) を流し込みます。ちなみに溶けて液体になった金属を「湯」と呼びます。

溶かした金属を入れた鍋
こちらが鋳型に流し込むアルミの湯。右側のバケツに入れて型に流し込みます。

溶融金属を型に流し込む工程「注湯」
今まさに湯を流し込んでいる場面です。湯を型に流し込む作業を「注湯 (ちゅうとう)」と言います。

ゆっくりと流し込んでいく様子。動画で見るとより面白いです↓

注ぎ込んだ湯が「ずももも」という感じで顔を出しましたね。鋳型には複数の穴が開いており、それぞれの穴から湯が見えたら、型の中身が一杯になった証拠。そこで注湯を終了します。動画を見ると、なんだか金属が生きているみたいですね。私はこれを見て『ターミネーター2』を思い出しました。

湯の温度は金属の種類によって変わります。鋳鉄の場合は1400~1500℃、アルミなら730~800℃。温度が違うということは、冷却に要する時間も違うということです。

注湯が終わったら、少しずつ冷却して金属を固めます。金属の温度が高ければ、それだけ冷却にも時間がかかります。

鋳型から外した出来たての鋳物
冷却が終わり、真っ黒な砂の中からできたてホヤホヤの鋳物が顔を出しています。冷却したとは言うものの、まだ熱くて素手で触るのは危険。湯気も出ていますね。

ちなみにこの砂は、公園の砂場にあるような普通の砂ではありません。特別な成分配合により、握る (圧力をかける) と固まる性質があります。

その砂から取り出してみると…

鋳物に付いた注ぎ口の金属を取る。
このように・柱のような部分は注湯時の通り道。製品部分ではないので取り外します。なお取った柱は「るつぼ」に入れ、溶かして再利用します。

鋳物のバリ取り
鋳型から取り出した段階の製品は、所どころに余分な金属(鋳バリ)がはみ出しています。それらを綺麗に削り取る「バリ取り」という作業です。

以上の工程を経て、ついに完成。製品は倉庫に保管され、各メーカーに出荷される時を待ちます。

実際の鋳物フェンス製品にはどんなものがある?

鋳物フェンス。形は色々
四国化成工業株式会社

工場で作られた鋳物フェンスは、上記写真のような建材となって家周りを彩ります。ただの塀や垣とはひと味違う、幾何学的な美しさがありますね。

いかがでしたか。鋳物がどんな場所に使われているのか、どのように作られているのかが分かっていただけたと思います。やはりモノ作りの現場を見るのは楽しいですね。私としては注湯の工程が最も面白かったです。あの「ずももも」とせり上がってくる様子は、何回見ても飽きません。

鋳物フェンスも検討してみてください。価格帯は約12,000円~ (サイズ1000mm × 600mm、施工費別)。10万円を超える商品もあります。

参考:鋳物フェンスを販売しているサイト一覧

Mr.Tボーン

Mr.Tボーン骨のあるライター

Tは苗字のイニシャルです。私は痩せ型であり、会社の健康診断で「痩せすぎです」という結果を頂きました。ガリガリの骨みたいなT野郎ということで、Mr.Tボーンと名乗らせて頂きます。
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