海外の”あの場所”を日本でも。「デザインコンクリート」
石川県金沢市で輸入建材を取り扱う株式会社カントリーベース。国内では珍しい輸入建材を提供する建材屋です。彼らが材工で取り扱う建材に「デザインコンクリート」があります。レンガ・砂岩・コンクリートといった素材のテイストを独自に表現できるモルタル造形の手法です。
「海外の”あの風景”を、日本にも」
モルタル造形で何を表現するのか、彼らは海外のトレンドを表現し続けます。アメリカ、カナダ、オーストラリア、中国を中心とした各国に直接訪問すること丸4年。彼らは「ブルックリン”風”」や「カリフォルニア”風”」から一歩進み、「実際に見てきたブルックリン」といった実体験を表現し続けています。
では実際にどんなクオリティなのか、2018年6月1日に自社ショールーム(金沢)を4年ぶりに改装。彼らがこの4年間で見つけてきた海外の”あの風景”をショールームの随所で表現しています。
1. サンタ・モニカのウォールアート
アメリカのカリフォルニア州サンタ・モニカにある「Abott・Kinney(アボット・キニ―)」。実在した「アボット・キニー」という大富豪の名前が由来の小さな通りで、おしゃれなカフェやショップが軒を連ねます。その一角のレンガ壁に、モルタルを塗りつけ、その剥がれすらも利用したウォールアートがありました。
今回ショールーム2階の内壁にジョンレノンのウォールアートをデザインコンクリートで表現。
間近でみた質感・ひび・剥がれのテイストも再現。現地のスポット情報もパネルで紹介しています。施工は合板をひき、防水シートをあて、モルタルが留まるラスを貼り、ツールで削ったりしながら、最後に着色します。施工期間は約2日間。(施工の様子はこちらの動画をご覧ください)
現地同様、ショールーム内でも人気の撮影スポットとなっています。
2. シドニー最古の老舗パブの外壁
2つめはオーストラリア・シドニーの最古のパブ「ロードネルソン・ブリュワリー・ホテル」。店内では自家製ビールを楽しめ多くの人で賑わいます。かつてイギリスの植民地だったオーストラリアでは石を切り出す囚人も多く、パブの外壁には彼らが切り出す砂岩が使われています。
砂岩を切り出すのに、囚人たちはノミで削り出します。そのテクスチャーもこのように表現。クラックガラスの照明越しに、ノミの削り出しが映えます。
削り跡は「バークローラー」という樹皮製ローラーを使用。壁にあてつけ、唯一無二の質感を出せます。
3. エルヴィス・ストーン
アメリカのカリフォルニア州パームスプリングスには20世紀中頃の建築物が多く存在しています。あのエルヴィス・プレスリーがハネムーン期間に1年のみ滞在した別荘もあり、玄関まわりの外壁には通称「エルヴィス・ストーン」といわれる石が積まれています。
番外編 : アンティーク建材屋の波板壁
オーストラリアのシドニーにある古い建材屋。建物の壁面には一見ゴミ同様の、本物のアンティークの波板が施工されています。日本で”アンティーク”といえば「人工的に作り出された加工品」が多くなりがち。でもその波板は経年劣化で朽ち果てた本物の古材でした。
同社は船で直接輸入し販売。板厚もある幅広の波板は日本では珍しい品。手で剥がそうとすれば剥がれる状態でもあるなかで、だからこその唯一無二さが際立ちます。
「頭のなかの風景を再現できる」
(デザイン・施工…櫻一style)
「今回リニューアルしたショールームに来ていただければ、ぼくらが海外で見た場所を表現できることは感じていただけると思います。同様にお施主さんや設計士さんにも『あの地方に行ったことある』という経験があるはずで、ぼくたちはそれらをデザインコンクリートで表現できる技術とアイディアがあります。」(営業課長の大上さん)
「人が集まる場所へ、更新する」
「これまで以上に人が集う場所を作りたかったです。僕たちスタッフ自身もここにいて居心地が良い場所にしたかった。家族・友達を呼んで『あの工務店や職人さんも連れてきてあげたい』という想いを4年ぶりに更新した感覚です。」
「昔のショールームにあったレンガをいま見返すと『レンガの色味や着色方法がまだまだだったよね』とか『下地調整も下手だったよね』など、今だからこそ気づける点もあります。それほど4年の歳月には、進化と変化があったと痛感します。これからの数年後には、海外のトレンドやお施主・設計士・工務店・職人の各ニーズも変化しますから、もしかするとせっかくリニューアルしたこの空間もぶち壊す(=更新する)可能性もありますね。でも、それぐらいの覚悟で僕らもアップグレードしていきたいし、海外で見つけたおしゃれな場所をすぐ日本で実践していきたいんです。」
「自社リノベから、実は始まる」
「工務店や職人さんも4年前の流行を今のお客様にもずーっと提供し続けるかというと違うはず。お客様を招き入れるショールームや提案が現状維持だと人は集まりません。そのためにやらなければいけないのがまずは自社事務所のリノベだと考えています。」
「今回のリニューアルを通じて、ぼくたちスタッフもモチベーションが上がり仕事の効率もあがったと体感しています。『私もこんな風に事務所リノベしたい』『ショールームの壁一面だけでもいいから変えてみたい』『そもそも会社の見られ方を変えたい』といった方のお手伝いをカントリーベースがさせていただければ幸いです。新しくなったショールームにアイディアを探しに、ぜひ一度お越しください」(大上氏)
デザインコンクリートの施工様子が掴めるこちらの記事もご覧ください。