庇の雨仕舞が!?逆転の発想「アルフィン AD-R」
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建築デザインをする者にとって悩ましいのが雨仕舞。意匠に凝れば凝るほど雨仕舞が難しくなります。かつては雨漏れする建物を設計することが有名建築家の証といわれたこともありました。
街中を散歩していても職業柄、目に映る建物の雨仕舞は気になります。意匠設計を学んだとき、逆勾配の屋根を持った建物や片流れ屋根の建物には注意が必要と教わりました。
コストが掛かる!?デザインが悪くなる!?庇のない住宅が増加
逆勾配の屋根を持った建物を時々見かけると「大丈夫かなぁ…」といらぬ心配をしてしまいます。さらに片流れ屋根の山側にあたる壁面に庇を持たない窓が設置されているのを見かける機会があります。「住み心地はどうだろうか…」と、これまたいらぬ心配しながら眺めています。
最近は庇の付いた窓のある住宅が少なくなったように思います。コストが掛かる点、庇をつけることによりデザイン性が劣ってくるので嫌われるという点が大きな要因です。
窓に庇を設けずサッシ自体の性能とコーキングやシールの防水性能に期待して雨水を防ぐのは、経年劣化に対して脆弱な発想です。雨水を無理なく防ぐ、遮熱、遮光といった観点から庇はもっと評価されて良いと思います。むしろサッシに庇を組み込めば良いくらいです。
たとえ玄関であっても申し訳程度しか庇がない家もあり、とても残念に思ったことがあります。「利用勝手が良くないだろうなぁ…」と大変懸念します。
そもそも住宅での庇の役割って?
庇には雨水の進入を防ぐ目的以外に、遮光・遮熱することで住宅の冷暖房負荷を低減するという大きな役割もあります。また夏の遮光、冬の採光といった、室内への光をコントロールする面でも住宅の快適性に関わる重要な要素です。
どちらかというと庇は脇に置かれてきた風潮がありますが、最近よく見かけるデザイン性に優れたキューブのような住宅や施設に似合う庇として、アルミ製、スチール製、強化ガラス製のごくシンプルなものが出てきました。こうした庇はデザインにこだわる設計者や施主によく使われています。
しかし強化ガラス製以外の庇は遮光には合格点をあげられても、雨仕舞の面では中途半端なものが多くあります。
まさかの逆勾配!? 逆転の発想で「アルフィン AD-R」
そうした中で庇に真っ向から向き合い庇専業メーカーとして35年の歴史を持つ株式会社共和さんが逆転の発想として取り組んできたのが、逆勾配庇「アルフィン AD-R」です。「自由なサイズの庇を一人で取り付けられるように」というコンセプトで2006年から開発がスタートした商品ラインナップ。その発展形が今回のAD-Rです。
2.5度の勾配を建物の外に向けず逆に設け、建物側に水下として樋を設けるという逆転の発想の庇です。担当者さまに伺うと、勾配の2.5度の数値には大きな意味はないようですが、やはり水平に見えるよう努力された結果だと思えました。
こうしたスタイリッシュな庇が登場したことは雨仕舞とデザインの両立を願ってきた設計者や施主にとって朗報であり、建物デザインをする者にとって選択肢が広がりますね。
デザインは庇の厚みを極限まで抑え、建物の意匠を損なわないものになっています。樋についても配慮された設計となっており、建物のデザインにも十分向こうを張って主張できる製品。昨今の建築資材は優れたものが多く、それを使いたいからデザインしたいと思わせるものが多いと個人的に感じていますが、この製品に似合う建物をデザインするという発想が生まれてくるかもしれません。
また庇の両サイドにも雨道が作られており、横から雨水が漏れ落ちる懸念もクリアしています。
そしてダウンライトも仕込めるようになっており、この点もすっきりとしたデザインを展開できることから好感が持てます。
施工方法
施工はパネルをレールに沿って差し込み合わせていくだけの簡単手順と、「自由なサイズの庇を一人で取り付けられるように」というコンセプトを見事に実現しています。
製品仕様
出幅 | 3000mmまでミリ単位
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材質 |
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カラー | シルバー | ステンカラー |
全長 | 100mm単位で自由設定 | |
価格 | サイズ別の価格一覧はこちら ※ 目安 : 出幅 900mm × 横幅 1500mm で 114,800円 |
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オプション | LED照明 |
庇のサポートポールは、出幅が1501mmを超えると付いてきます。カラーバリエーションは次の5色。
メンテナンス・経年劣化などに対する明記があると良かった!
メーカーのWebサイトを眺めていると強度に対しての考察が述べられていました。見た目のスリムさとは違いフラットバーを軒の出方向に縦に入れて剛性を高めるなど、随分と強固なものであることが見てとれ、好感が持てます。
ただ長期間の使用を考えた場合は、雨仕舞以外だけでなく逆勾配の吊り元にある樋のつまりをいかにメンテナンスしていくのか、清掃に対するメンテナンス性はどうか、年間を通じての寒暖差で軒先が暴れてこないかなど、経年劣化に伴うトラブルに対して明確な表記がないことが少々惜しかったです。
デザイン面では人目に最も触れる部分である庇と建物の収まり部分の意匠がまさしく樋であり、ここをもっと潔くデザインされるとより素晴らしいと感じました。また見えにくい場所ではありますが、普通のビス頭が見えているのも惜しかった点。コストの問題はあるかもしれませんが六角ボルトなどを使い、よりギミック感が出ても良いです。
期待通りの性能(最小のメンテンナンスで10年以上漏水を生じない・変形しない・壊れない)が出せれば魅力的ですね!以上、雨仕舞が良く、美観が気になる玄関などにデザイン性を損ねず設置できる庇「アルフィンAD-R」でした。
この建材のポイント
オススメなのは? | 美観が気になる玄関や窓に、雨仕舞が良くオシャレな庇を設けたい方 |
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一番の強みは? | 逆勾配だから、庇で受けた雨水がそのまま下に垂れない |
施工の強みは? | レールに差し込み合わせていくだけなので簡単 |